労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2014.09.22 【判決日:2013.11.27】
横河電機(SE・うつ病罹患)事件(東京高判平25・11・27) うつ病休職満了で解雇、安配違反なしとの一審は? 過重労働で強い負荷を認容
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  • 休職
  • 休職の終了・満了
  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 上司の叱責や過重労働でうつ病を発症し休職期間満了後に解雇されたとして、会社らに損害賠償等を請求した事案の控訴審で、東京高裁は精神的なぜい弱性を考慮しても月90時間超の残業の心理的負荷と発症には相当因果関係があり、予見も可能で一審を覆し安全配慮義務違反とした。素因を勘案し、寛解後の休職との因果関係は50%とした。 寛解後の責任50% 精神……[続きを読む]

2014.09.15 【判決日:2014.04.22】
X学園事件(さいたま地判平26・4・22) 学生相談室員を業務命令違反で有期契約中に“解雇” 直ちに終了させる理由ない
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 1年契約を反復更新する学生相談室のカウンセラーが、日報不提出など業務命令違反により期間途中に解雇され、解決金の支払いのみとする労働審判確定後に提訴。さいたま地裁は通常の解雇より厳格に解すべきとし、日報不提出などは直ちに雇用を終了せざるを得ない特別の重大な事由には当たらないとしたが、態様から期間満了での雇止めは認容。 日報の不提出など 満……[続きを読む]

2014.09.08 【判決日:2013.12.20】
東レエンタープライズ事件(大阪高判平25・12・20) 派遣先でセクハラ、契約解除に応じた「元」の責任は 解雇や退職の回避義務怠る
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  • 派遣

 セクハラを受けた派遣労働者が、派遣先の都合による派遣契約の中途解除を受け入れた派遣元に賠償を求めた事案の控訴審。次の派遣先を見つけ給与差額を負担した「元」の対応を適切とした一審に対し、大阪高裁は解除撤回を求めるべきで、一度の抗議で容認したことは「解雇や退職を余儀なくされたりしないよう配慮する義務」に反するとした。 一度抗議して容認 撤回……[続きを読む]

2014.09.01 【判決日:2013.11.21】
オリエンタルモーター(割増賃金)事件(東京高判平25・11・21) ICカード打刻時間を労働時間と認定した一審は? 入退場した履歴に過ぎない
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  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 始業終業時刻
  • 賃金

 元従業員の時間外割増賃金請求に対し、入退場を記録するICカードにより労働時間を認定した一審を不服として会社が控訴。東京高裁は社内での滞留時間を示すものに過ぎないとしたうえで、日報作成のために残業を命じた証拠はなく、早朝の掃除や朝礼への参加も任意であり、所定労働時間外に労務提供したとはいえないとして一審を取消した。 朝礼や掃除は任意 指揮……[続きを読む]

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