労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.05.25 【判決日:2022.11.16】
ITサービス事業A社事件(東京地判令4・11・16) 在宅勤務の時間虚偽報告、出社や賃金返還請求 欠勤控除を放棄したと認定
ジャンル:
  • 賃金
  • 賃金請求権

 在宅勤務を禁止されたが出社を拒否した従業員が賃金支払いを求めたのに対し、会社は勤務時間の報告に虚偽があったとして賃金返還を求めた。東京地裁は、会社が在宅中の不就労時間を問題にせず賃金を払ってきたとして賃金控除を放棄したと判断。勤務場所を自宅としたうえ出勤を命じる業務上の必要性は認められず、不就労を会社の責めに帰すべき事由による休業とした……[続きを読む]

2023.05.18 【判決日:2022.05.13】
REI元従業員事件(東京地判令4・5・13) 競業避止契約に違反したとSEに損害賠償請求 転職先の制限広く合意無効
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 競業避止義務

 人材の派遣・紹介会社が、システムエンジニアに対し競業避止契約に違反したとして賠償を求めた。東京地裁は、客先の指示でシステム開発等に従事するため会社は独自のノウハウを有さず、提供を受けたともいえないなどとして、同義務を定めた目的や利益は不明と判断。転職先を制限する範囲は顧客の取引先を含むなど広範で、代償措置もないことから合意を無効とした。……[続きを読む]

2023.05.11 【判決日:2023.03.10】
未払賃金等請求事件(最二小判令5・3・10) 月給決めて歩合給と残業代を振り分ける方法は 通常の賃金と判別できない ★
ジャンル:
  • 割増賃金
  • 賃金

 月給から基本給を控除し、その残額を歩合給と割増賃金に割り振っていた事案で、最高裁は原審を破棄して割増賃金が支払われていないと判断。残業時間に応じて時間外手当は増えるが調整手当が減る仕組みだった。賃金制度を見直して歩合給の一部を名目のみ調整手当に置き換えたもので、通常の労働時間の賃金を相当程度含むため、割増賃金部分と判別できないとした。……[続きを読む]

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