『賠償予定』の労働判例

2024.02.08 【判決日:2022.04.20】
大成建設事件(東京地判令4・4・20) 留学費用の貸与で誓約書、退職者に返済求める 賠償予定や全額払に反せず
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 海外研修から復職せず退職した元従業員に対し、会社が誓約書等に基づき貸与した費用の返済を求めた。東京地裁は、労基法の賠償予定の禁止や賃金の全額払いには反しないと判断。研修は本人の意思で受講し、内容は汎用性が高く、5年超働けば返済は免除されることから、貸与は雇用継続を強要するものではないとした。給与等との相殺について説明され、異議を述べず合……[続きを読む]

2021.10.21 【判決日:2021.02.10】
みずほ証券事件(東京地判令3・2・10) 海外留学終了後に退職、費用3000万円返還求める 5年勤務で免除の契約有効
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 海外留学制度を利用して帰国後、約半年で退職した元従業員に対し、会社が誓約書に基づき約3000万円の返還を求めた。東京地裁は、留学は業務と直接関連せず役立つ性質のものでもないと判断。勤務以外でも通用する有益な経験・資格等であり個人の利益になる部分が相当大きいとした。返還が免除される5年間の勤続も不当に長いとはいえず、法が禁じる賠償予定には……[続きを読む]

2018.09.06 【判決日:2017.09.06】
医療法人K会事件(広島高判平29・9・6) 看護学校の修学費を貸与、6年勤務せず返せ!? 返還免除 3年超える条件無効
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 看護学校在学中の「貸与金」の返還が免除される6年勤務していないとして、病院が退職した看護師らに約250万円の返還を求めた。広島高裁は、労基法の労働契約期間の上限を基準に返還免除まで3年を超えるか否かを重視。貸与金の実質は一部生活費であり、取得後4年超の勤務を考慮せず返還額は基本給の10倍に及ぶなど、退職を不当に制限する賠償予定で違法とし……[続きを読む]

2010.04.19 【判決日:2009.09.03】
東亜自動車交通事件(大阪地判平21・9・3) 退職時に免許取得費の返還要求、賠償予定で違法か 消費貸借契約が成立し有効
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 タクシーの元乗務員2人が、退職時に2種免許取得費用の返済を求められたため労基法の賠償予定の禁止に当たるとして損害賠償を求めた。大阪地裁は、返還免除特約付きの消費貸借契約として成立しており、「800日乗務」の要件が満たされない限り返還義務を負うと判示。資格は他社でも活用可能で、会社は教習費を代わって支出したに過ぎず、法違反でないとした。……[続きを読む]

2004.08.23 【判決日:2004.01.26】
明治生命保険事件(東京地判平16・1・26) 帰国1年余で退職した社員に留学費返せと提訴 貸借合意認め返還命じる
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 アメリ力留学に際し「帰国後5年以内の自己都合退職の場合は費用全額返還」の誓約書に基づき、1年余で退職した社員に費用の返還を求めた事案で、「金銭消費貸借の合意」が成立しており、留学には業務性を伴わず、労基法第16条にも違反しないとしたうえ、学費部分に範囲を限定して返還を命じた。 労基法に反しない 範囲は学費分のみ 筆者:弁護士 石井 妙子……[続きを読む]

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