労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2024.07.24 【判決日:2023.05.24】
スカイコート事件(東京地判令5・5・24) 転職するため経理データ持ち出したと懲戒解雇 秘密保持違反で退職金なし NEW
ジャンル:
  • 賃金
  • 退職金

 退職の意思表示後に経理財務データを持ち出したとして、懲戒解雇された経理部長代理が退職金を請求した。東京地裁は、持ち出したデータが就業規則上の「重大な機密」に当たり、持出行為は功労報償を完全に減殺するとして請求を退けた。不正競争防止法のように、秘密の範囲を限定的に解する必要はないとして、懲戒事由の範囲を規定した就業規則の合理性を肯定できる……[続きを読む]

2024.07.18 【判決日:2023.12.20】
学校法人松山大学事件(松山地判令5・12・20) 過半数代表選出で投票しない人は多数派扱い!? 信任明確といえず協定無効
ジャンル:
  • その他
  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 賃金

 裁量労働制の労使協定は無効と割増賃金等を求めた裁判で、松山地裁は、過半数代表者の信任票は約25%にすぎず協定を無効とした。投票しなかった場合に「有効投票による決定に委ねた」とみなす規定があったが、有効票の内容は事前に分からず、選出を支持したことが明確な民主的手続きとはいえないとした。正確な時間を算出できず原告主張の7割相当の支払いを命じ……[続きを読む]

2024.07.11 【判決日:2023.11.30】
日本産業パートナーズ事件(東京高判令5・11・30) 競業避止義務違反したと退職金25%のみ支給は 業績退職金の不支給認める
ジャンル:
  • 賃金
  • 退職金

 同業他社へ転職した投資職の元従業員が、退職金総額の25%部分に当たる基本退職金のみ支給されたため、残りの業績退職金を請求した事案の控訴審。請求を棄却した一審と同様、東京高裁も、競業避止義務違反は勤続の功を大きく減殺し、著しく信義に反するとした。転職を1年間禁じることに合理性がないとはいえず、態様が故意で悪質なことや貢献度が低かったことを……[続きを読む]

2024.07.04 【判決日:2023.03.31】
久 日本流通事件(札幌地判令5・3・31) 「売上げの10%」で計算する固定残業代は有効か 時間外労働の対価と認めず
ジャンル:
  • 割増賃金
  • 賃金

 「売上げの10%」を固定残業代として支給された貨物ドライバーが、未払いの割増賃金を請求した。札幌地裁は、雇用契約書には手当の趣旨や算定方法の記載はないなど、時間外労働等の対価とはいえないと判断。採用面接や給料日にも説明はなかった。手当は時間の長短にかかわらず一定額を支払うもので、通常時の売上げで算定する部分が含まれ、残業時との区別ができ……[続きを読む]

2024.06.27 【判決日:2023.12.19】
小田急電鉄事件(東京地判令5・12・19) 覚醒剤を所持使用して逮捕され退職金不支給に 犯罪行為で“勤続の功”抹消
ジャンル:
  • 賃金
  • 退職金

 覚醒剤の所持、使用で有罪となり懲戒解雇された主任が、退職金不支給は違法として約1000万円を求めた事案。東京地裁は、相当重い犯罪類型であり、永年勤続の功労を抹消するほどの不信行為として請求を退けた。社内で再発防止教育に要した時間数や監督官庁への報告など社内外に影響が及んでおり、報道等がなかったのは偶然で労働者に有利に斟酌すべきでないとし……[続きを読む]

年月アーカイブ

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。