労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2025.06.26 【判決日:2024.10.17】
東光高岳事件(東京高判令6・10・17) 再雇用契約を更新、賃金減額拒否して雇止めは 変更後の労働条件に合理性 NEW
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 定年後再雇用された労働者が、初回の更新に際し、吸収合併した親会社からの賃金減額を拒否して雇止めされた事案。一審は、直前の労働条件と同一内容での更新期待は認められないとした。東京高裁は、労契法19条2号の更新は同一の条件で更新されるものに限定されないが、合併後に条件を統一する必要性から、業績堅調でも賃金減額の合理性を認め、雇止め有効とした……[続きを読む]

2025.06.19 【判決日:2024.07.18】
アクセンチュア事件(東京地判令6・7・18) 勤務歴正しく申告せず中途採用者を内定取消し 経歴詐称理由の解約は有効
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  • 採用内定
  • 労働契約

 中途採用した従業員の職歴を内定後に調査したところ、虚偽があったとして内定を取り消した。職務経歴書に記載のない会社で勤務歴があった。東京地裁は、虚偽申告したのは退職をめぐる紛争を秘匿するためで、これらの事実は従業員の適格性にかかわる重要事項と判断。故意の経歴詐称であり、信頼関係を維持できない不正義性が認められるとして、取消しを有効とした。……[続きを読む]

2025.06.12 【判決日:2024.11.06】
国・中労委(ワットラインサービス)事件(東京高判令6・11・6) 個人事業主からの団交拒否不当とした一審は? 副業可能でも「組織組入れ」
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  • 労働組合

 個人事業主が加盟する労働組合との団交拒否を不当労働行為とされた会社が、労委命令の取消しを求めた事案の控訴審。東京高裁は、事業組織への組入れに関して、個人作業者は副業・兼業できたが、多くは会社の報酬等で生計を立てていたと推認。請負契約を結んだ別法人の個人作業者も働いていたが、委託法人が組織に組み入れられているかどうかは影響しないとした。……[続きを読む]

2025.06.05 【判決日:2024.09.26】
フィリップス・ジャパン事件(東京地判令6・9・26) 解雇され賃金請求、再就職したから退職合意? 「就労の意思」喪失を認めず
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  • その他
  • 解雇

 能力不足を理由に解雇され就労できなくなったとして、賃金等を請求した事案。賃金など好条件で再就職していたことから、会社は就労の意思は喪失し退職に合意したと主張した。東京地裁は、解雇から産休までの月給の請求権を認めた。保育園の入所資格を得るため就活をする必要に迫られたもので、就労意思の喪失を否定した。なお、賞与請求権は発生していないとした。……[続きを読む]

2025.05.29 【判決日:2024.10.31】
日本硝子産業事件(静岡地判令6・10・31) 最低賃金の「試し勤務」せず休職満了で退職扱い 復職時に会社への協力怠る
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  • 休職
  • 休職の終了・満了

 休職から復職する際、最低賃金の試し勤務を拒否した執行役員が、復職を認められず違法等と訴えた。静岡地裁は、会社が治ゆを認定できるよう労働者は協力義務を負うとした。出勤を命じる必要性等を認めたうえ、賃金の協議に会社は応じる意向だったとして、会社の提案を理由とした出勤拒否は正当化できないとした。なお、管理監督者と認めて割増賃金請求も退けた。……[続きを読む]

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