労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2024.10.10 【判決日:2023.05.19】
学校法人玉手山学園事件(京都地判令5・5・19) 学生から低い評価だった非常勤講師の更新拒否 雇用継続への期待が上回る NEW
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 1年契約を4回更新して雇止めされた非常勤講師が、地位確認等を求めた事案。京都地裁は、非常勤講師の更新期待が高いとはいえないが、学生のアンケート結果が他の教員に比べて悪いことを雇止めの理由として評価することは妥当といえず、雇止めを無効とした。指導能力や勤務態度を判定する仕組みが設けられていないなど、雇止めの理由は全く採用できないとしている……[続きを読む]

2024.10.03 【判決日:2024.07.04】
あんしん財団事件(最一小判令6・7・4) メリット制対象事業主が業務災害でないと提訴 労災支給処分取消し争えず ★
ジャンル:
  • 労災
  • 業務上・外認定

 業務災害で労災保険料が増えるおそれがあるとして、事業主が労災支給決定処分の取消しを求めた事案の上告審で、最高裁は原告適格を否定。労災支給決定は被災労働者の保護を目的とし、保険料額の基礎となる法律関係まで確定するものではないとした。客観的に支給要件を満たさない給付額は保険料計算から除外するとしたうえ、保険料の認定処分の不服申立て等が可能と……[続きを読む]

2024.09.19 【判決日:2023.09.26】
国・中労委(河合塾)事件(東京地判令5・9・26) 塾講師と業務委託契約拒否し不当労働行為に? 中間収入控除せず支払いを
ジャンル:
  • 労働組合

 ビラ配布などを理由に組合員である塾講師の委託契約を締結、更新しなかったことが不当労働行為とされた予備校が、中労委命令の取消しを求めた。東京地裁は、請求を棄却した。バックペイの支払命令に関して、中間収入を控除しなかった中労委命令に裁量の逸脱濫用はないと判断。再就職の難易等を勘案すると、不当労働行為が組合活動に与えた侵害の程度は深刻としてい……[続きを読む]

2024.09.12 【判決日:2023.06.09】
日本HP事件(東京地判令5・6・9) 管理職から降格、社内資料で降給ルール周知? 基本給減額の根拠欠き無効
ジャンル:
  • 周知・効力
  • 就業規則
  • 昇給昇格・降格

 能力不足等を理由とした管理職から一般職への降格は無効として、減額分の支払いを求めた。降格時の月給の変換式は、資料としてイントラネットに公開されていた。東京地裁は、給与規程や降給規程に資料への委任規定がなく、資料を労基署へ届け出ていなかったことなどから、就業規則とは認められないと判断。降給規程で定める降給の条件は、資料の内容から明らかでな……[続きを読む]

2024.09.05 【判決日:2024.04.26】
滋賀県社会福祉協議会事件(最二小判令6・4・26) 技術職で中途採用、業務なくなり配置転換は? 配転命令に本人同意が必要 ★
ジャンル:
  • 配転・出向

 福祉用具の技術者として採用され18年勤務した主任技師が、総務課への配置転換命令は違法と訴えて損害賠償等を求めた事案の上告審。原審が黙示の職種限定合意を認めて、元々従事していた業務の廃止に伴う配転命令を権利濫用とはいえないとしたのに対し、最高裁は、労働者の同意なく職種限定合意に反する配転を命じる権限を有しないとして、原審を破棄して差し戻し……[続きを読む]

もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。