人事・労務・安全衛生の労働実務相談Q&A

 日常職場で発生するトラブルの処理の仕方、安全衛生の諸問題、人事労務制度の内容、労働関係法の解釈など、紙面に寄せられた労働問題に関する相談を掲載しています。

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NEW2024.03.19 【労働基準法】

時間年休で1日分は 繁閑により所定異なる

キーワード:
  • 休憩・休日関係
  • 年次有給休暇
  • 短時間勤務
Q

 短時間労働者にも時間単位年休を認めてはどうかという話が出てきました。短時間労働者は、業務の繁閑に応じて所定労働時間が異なります。時間単位年休を与えるとして、1日分を何時間と考えることになるのでしょうか。また、管理を容易にする方法などもあるのでしょうか。【福岡・A社】

A

年間の平均使い定める

 時間単位年休は、労使協定を締結することで年5日まで与えられるようになります(労基法39条4項)。締結事項は、①対象労働者の範囲、②時間単位年休の日数、③1日分に相当する時間数、④付与を1時間以外の時間(たとえば2時間など)を単位とする際の時間数です。

 ③は、労働者の所定労働時間をベースに定めます(平21・5・29基発0529001号)。1時間に満たない時間数は、時間単位へ切り上げます。日によって異なる場合は、…

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NEW2024.03.18 【健康保険法】

低額の休職給に該当? 私傷病欠勤で賃金控除

キーワード:
  • 標準報酬月額
  • 賃金控除
  • 随時改定
Q

 私傷病で断続的に欠勤している従業員がいます。標準報酬月額は変わらないと認識していますが、「低額の休職給」が支払われる場合には、固定的賃金の変動に当たるというものをみました。病気欠勤で報酬が一部減るときも随時改定の対象になるのでしょうか。【長野・R社】

A

標準報酬月額原則変わらず

 月給など固定的賃金の増減に合わせて、社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額も変わることがあります(健保法43条)。たとえば、一時帰休に伴い、就労していたら受けられたはずの報酬よりも低額の休業手当等が支払われる場合、固定的賃金が変動したものとして随時改定の対象になります(令5・6・27事務連絡)。手当が支払われた日は、随時改定の要件である17日以上に含まれます。

 一方、…

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NEW2024.03.15 【労災保険法】

フリーランスの補償範囲は? 請負契約等を締結検討 特別加入対象が拡大で

キーワード:
  • 特別加入
  • 通勤災害
Q

 業務委託や請負で働いてもらうときですが、自社の従業員とは異なり、ケガなどをしても基本的には本人の責任だと思います。いわゆるフリーランスに関して、令和6年の秋ごろに特別加入が可能になるということですが、業務上に限らず通勤途上の災害も補償対象になるのでしょうか。【大阪・F社】

A

業務上に限らず通災も

 労災保険は、事業に使用される「労働者」の保護を目的とする制度で、事業主や自営業者など労働者でない者の災害は、保護の対象ではありません(労災法1条)。しかし、一定の者については、特別に任意に加入することを認め、一定の災害について保険給付等の対象としています(法33条)。

 特別加入が認められる「一人親方その他の自営業者が行う事業に従事する者」(法33条3号)の範囲に、いわゆるフリーランス法2条1項に規定する特定受託事業者(労災則46条の17第12号)が加わります(令6・1・31厚生労働省令22号)。保険料率は、0.3%です。なお、施行日は、フリーランス法の公布の日(令5・5・12)から起算して1年半を超えない範囲で政令で定める日となっています。

 特別加入者は、…

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NEW2024.03.14 【衛生管理】

精神疾患の既往歴確認は 中途採用者へ面接実施

キーワード:
  • メンタルヘルス
Q

 中途採用した社員が、以前の勤め先でメンタル不調で休職していたことが入社後に分かったケースがあり、その後当社でも休職して、結局辞めてしまいました。そのことがあって、経営者が「今後採用の際に産業医に協力してもらってメンタルの既往がないか確認するように」と言ってきました。それはまずいのではないかと思うのですが、会社としては確認してもよいものでしょうか。【和歌山・C社】

A

就職差別につながる危険 雇入時健診は項目あり

 メンタル疾患は再発することが比較的多いとされているので、メンタル疾患の既往があるかは採用する際に確認したくなるのはとてもよく分かります。採用の際は雇入時の健康診断が必要となりますが(安衛則43条)、そのなかには「既往歴」の欄があり、その意味では採用時に確認することに問題はないように思われる方もおられると思います。

 ただ、よく知られているように、雇入れ時健診は採用選考のための健診ではなく「常時使用する労働者を雇い入れた際における適正配置、入職後の健康管理に資するため」に行うものです(平5・4・26事務連絡)。

 採用時において、…

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NEW2024.03.14 【交通事故処理】

被害者請求は不可能か? 時効を理由に拒否される

キーワード:
Q

 数年前に交通事故に遭い障害を負いました。これまで後遺障害等級の異議申立などもしたほか、賠償金額をめぐっては加害者・損害保険会社と交渉するもまだ解決できない状況です。経済的な困窮から、後遺障害等級10級の自賠責保険金額(461万円)を被害者請求したのですが、時効を理由に拒否されました。どうしたらよいでしょうか。【千葉・I生】

A

症状固定から3年なら 任意保険が中断で進行せず

 時効とは、「法律で、一定の事実状態が一定期間継続した場合に、真実の権利関係に合致するかどうかを問わずに、その事実状態を尊重して権利の取得・喪失という法律効果を認める制度」をいいます。分かりやすくいうと、「一定期間が経過してしまえば(何はともあれ、法的な)効果がなくなること」です。相談者の場合でいえば、自賠責保険に対する被害者請求の期間が一定期間経過したため、効果がなくなったということになります。つまり、時効になる2年間が過ぎてしまったので、保険金額を請求できなくなったということです。

 損害賠償請求における被害者請求とは、…

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