人事・労務・安全衛生の労働実務相談Q&A

 日常職場で発生するトラブルの処理の仕方、安全衛生の諸問題、人事労務制度の内容、労働関係法の解釈など、紙面に寄せられた労働問題に関する相談を掲載しています。

 労働新聞・安全スタッフのご購読者様は、専門の担当者が労働問題に関する相談に無料で幅広くお答えします。電子版にログインのうえご相談フォームからご利用ください。

NEW2025.05.16 【労働基準法】

数カ月にわたり減給処分? 懲戒事由多数ある場合 賃金総額の1割が限度か

キーワード:
  • 労務一般関係
Q

 従業員の勤務態度が悪く、遅刻早退のほかしばしば無断欠勤もします。複数の事案に対してそれぞれ懲戒処分として減給を行うかどうか検討しています。本人への戒めという意味で、数カ月にわたって減給することは認められないのでしょうか。労基法91条で定める減給の上限の範囲内であれば可能でしょうか。【静岡・N社】

A

上限超える分は翌月減も

 遅刻等の減給処分が、懲戒権の濫用(労働契約法15条)に当たるかどうかの問題はさておき、減給に関する労基法のルールを確認してみましょう。

 制裁の上限として、1事案の減給額は平均賃金1日分の半分以内、かつ、数回の事案が発生しても、1賃金支払期について賃金総額の1割以内という制限があります(労基法91条)。なお、賃金総額は、現に支払われる額をいい(昭25・9・8基収1338号)、欠勤等により少額となったときには、その少額となった賃金総額を基礎として1割を計算しなければなりません。減給額が多額になると労働者の生活を脅かすことになるため、…

回答の続きはこちら
NEW2025.05.15 【衛生管理】

熱中症対策でポイントは 気候変動影響か年々暑く

キーワード:
  • 熱中症
Q

 工場や屋外の業務のある会社なので、熱中症対策は以前からしているつもりですが、法令改正があって新たな事業者の義務ができると聞きました。気候変動の影響もあるのか、暑くなるのが年々早くなっているような気もします。どんな対策が必要でしょうか。【青森・A社】

A

暑さに慣れるのは1週間 時間少しずつ延ばしたい

 職場でも例年、熱中症が多数発生しています。職場での熱中症、特に重篤な結果となったものの事例は、多くが早期発見や早期対処ができなかった事例であることから、令和7年4月に安衛則612条の2が追加され、熱中症が生じるおそれのある暑熱下で作業する場合に、事業者に早期発見の体制の整備・周知、重篤化を防止する措置の実施手順の作成・周知が罰則付きで義務化されます(同年6月施行)。

 具体的には、熱中症を生ずるおそれのある作業※を行うときは…

回答の続きはこちら
NEW2025.05.14 【交通事故処理】

どの立場として請求する 兼業主婦で後遺障害残り

キーワード:
Q

 家計補助のため小規模な会社で事務員をしつつ、家族のため家事も行う兼業主婦です。交通事故に遭い、等級14級の後遺障害が残りました。休業損害や後遺障害の損害賠償について、主婦としても請求できると聞きますが、主婦の立場と兼業の立場のどちらで請求することになるのでしょうか。もしくは、両方の立場から請求可能でしょうか。【静岡・E子】

A

一般に主婦の方が有利に どちらか選択する必要が

 職業から収入を得ている兼業主婦でも、職業と主婦の両方から休業損害や後遺障害の逸失利益等の損害賠償を得ることはできません。どちらか一方の立場から請求ということになります。

 では、どちらの立場で損害賠償請求した方が本人にとって有利といえるでしょうか。損害賠償額の多いか少ないかが主たる判断材料になりますが、相談者の職業は小さな会社の事務員で、収入はそう多くないとのことです。この場合、損害賠償額は事務員よりも主婦の方が多くなるといえます。これは相談者に限らず、一般的に兼業主婦の場合、主婦の立場から請求した方が損害賠償額は多くなる傾向にあります。

 無職の主婦(いわゆる専業主婦)は、…

回答の続きはこちら
NEW2025.05.13 【健康保険法】

本採用後の改定が必要か 試用期間中は残業なし

キーワード:
  • 割増賃金
  • 時間外労働
  • 残業
  • 残業代
Q

 採用した従業員の試用期間を3カ月に設定しています。試用期間中は残業を命じないことをあらかじめ本人に伝えています。晴れて本採用に至った後に残業を命じて、実時間に応じて時間外割増賃金を支払うときに、社会保険の報酬月額を改定する必要があるのでしょうか。【広島・U社】

A

「手当新設」には当たらず 入社時に取得手続きを

 健康保険の被保険者資格は、適用事業所に使用されるようになった日から資格取得します(健保則35条)。「適用事業所に使用されるようになった日」とは、事実上の使用関係が発生した日であるため、試用期間であっても被保険者資格を取得すると解されています(健康保険法の解釈と運用)。

 試用期間中は残業がなく本採用後に残業が可能となり、はじめて残業代が発生したとします。その後3カ月間の報酬の平均額と、資格取得時に決定した報酬を比べて2等級以上の差が生じた場合に、随時改定の要件に該当するのでしょうか。

 改定の対象になるのは、…

回答の続きはこちら
NEW2025.05.13 【パート・有期雇用労働法】

嘱託再雇用し健診不要? 労働時間や日数減らす

キーワード:
  • 健康診断
  • 再雇用
Q

 定年後に嘱託再雇用した従業員について、労働時間や労働日数を見直して賃金も減額しています。ただ、職務の内容等は定年前後で基本変わりありません。一般的なパート・アルバイトだと健康診断を実施しなければならないかどうかは、労働時間が関係していたはずです。嘱託再雇用に伴い労働時間を短縮したことによって、定期健診の対象外としてしまって良いものでしょうか。【山口・Y社】

A

短時間のみで除外は問題 差別的取扱いに留意を

 定期健診の対象となるのは、常時使用する短時間・有期雇用労働者です。有期雇用のときは、1年(いわゆる危険有害業務については6カ月)以上雇用が継続していて(予定を含む)、かつ、週の労働時間数が、同種の業務に従事する通常の労働者の週の所定労働時間数の4分の3以上あることが条件となっています(平31・1・30基発0131第1号)。

 4分の3未満であっても、2分の1以上あれば実施が望ましいとされています。いずれにしても、前掲通達で定める条件を満たさなければ、安衛法上の健診の実施義務はありません。

 定年退職時と再雇用時の所定労働時間を比較した統計(中労委「令和5年賃金事情等総合調査」)によれば、…

回答の続きはこちら
もっと見る もっと見る
ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。