労働基準法

NEW2025.07.10 【労働基準法】

減給制裁で制限は何か? 事由が2つある場合など

キーワード:
  • 減給制裁
  • 賃金関係
Q

 当社の従業員について、勤務態度が良くなく、一度始末書を提出させてもなかなか改まらないうえ、会社の所有物を紛失したこともあり、減給処分を検討しています。減給には制限があったと思いますが、2つ事由がある際の扱いなどどうだったでしょうか。【奈良・N社】

A

一賃金支払期の10%まで 複数回に分けることも可

 制裁(懲戒処分)として行う減給は、労基法91条により、1回の額が平均賃金の半分を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとしています。公務員のように減給○カ月などの処分は科せないということです。

 前者は、1つの制裁事案に対して、減給の総額が平均賃金の1日分の半額以内でなければならいことを意味します(昭23・9・20基収1789号)。1つの事案で何日にもわたって平均賃金の半分を減給できないということです。事案が複数ある場合は、それぞれにつき平均賃金の半分を減給することはできると解されています(労基法コンメンタール)。平均賃金については、法12条で定義しています。減給の制裁のほか、休業手当や休業補償などを算定するときの尺度として使われます。原則的な金額と最低保障額の計算方法が定められており、高いほうが平均賃金となります。

 後者は、…

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2025.07.04 【労働基準法】

熱中症対策で中断は休憩か WBGT値や気温上昇 「手待ち時間」に該当?

キーワード:
  • 休憩
  • 労働時間関係
  • 熱中症
Q

 令和7年6月から熱中症対策で報告体制の整備や手順の作成等が義務化されました。当社では、必要に応じて作業を中断したいと考えています。休憩時間として処理するためには、お昼からの休憩時間の枠を拡大するべきでしょうか。休憩の規定にかかわらず突発的に中断する場合は、いわゆる手待ち時間となりますか。【埼玉・N社】

A

数値下がり再開なら待機

 職場における熱中症を予防するには、「環境」と「作業」の管理がポイントになります(令7・5・20基発0520第7号)。作業中に巡視を行い、労働者の健康状態を確認し、熱中症を疑わせる兆候が表れた場合には、速やかに作業の中断その他必要な措置を講じるよう求めています。WBGT値の低減や休憩場所の整備等、作業時間の短縮等に努めることが必要でしょう。

 休憩時間に関して、労基法上は休憩の位置を特定ないし一定させることは要求されていませんが、…

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2025.06.27 【労働基準法】

退職金も7日以内に支払う? 労働者が賃金請求 先延ばしはできるか

キーワード:
  • 賃金関係
  • 退職金
Q

 会社の借上げ社宅から従業員が突然いなくなってしまいました。部屋には書置きが残されていて、働いた分の賃金を支払ってほしいと書いてありました。退職者の請求があれば早期の賃金支払いに応じる必要があることは理解していますが、一方で退職金については、このような場合、退職の経緯なども勘案して、減額して支給時期を先延ばししても問題はないでしょうか。【神奈川・E社】

A

規定の支払期日までで可

 労働者が退職や死亡した場合において、権利者から請求があれば、7日以内に賃金を支払い、その他労働者の権利に属する金品を返還する必要があります(労基法23条)。退職した労働者に対しては、使用者に賃金等を迅速に返還させないと、労働者の足止め策に利用されることなどから、賃金支払い等の清算のために必要な規定と解されています(労基法コンメンタール)。

 返還の請求の仕方について労基法はとくに規定していませんが、…

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2025.06.26 【労働基準法】

予告期間中でも年休か? 未消化あればどうする

キーワード:
  • 年次有給休暇
  • 解雇
  • 解雇予告
Q

 ある労働者へ解雇の打診をした際、応じた際の年休の扱いを知りたいと聞かれました。解雇予告期間中でも取得可能でしょうか。未消化分の買上げなど調整は必要ですか。【広島・M社】

A

労働義務残り付与必要 事前の買上げとは異なる

 労基法上、解雇をする場合、少なくとも30日前までに予告をしなければならないとしています(法20条)。一方で、30日前までに解雇予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を支払う必要があります。解雇予告と併用する方法も認められており、平均賃金を支払った日数分、解雇予告の日数を短縮することもができます。

 次に、年次有給休暇は、賃金の減収を伴うことなく労働義務の免除を受けるものです。休日その他労働義務の課せられていない日は取得する余地がないとされています(労基法コンメンタール)。また、…

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2025.06.24 【労働基準法】

営業所にも備付け? 本社と同じ就業規則だが

キーワード:
  • 労務一般関係
  • 就業規則
Q

 新たに営業所を開設するため準備中です。5人程度と小さいため引き続き本社で労務管理を行います。従業員から就業規則などの写しを持っていくべきか問われましたが、本社のものを適用するため本社に備え付けてあれば不要という認識で良いでしょうか。【京都・C社】

A

各作業場単位で必要という規定

 労基法106条は、就業規則や労使協定などについて周知義務を課しています。周知の方法は、①作業場の見やすい場所への常時の掲示または備付け、②書面の交付、③電子計算機に備えられたファイルまたは電磁的記録媒体をもって調製するファイルに記録し、かつ、各作業場に常時確認できる機器を設置すること――で行います(労基則52条の2)。③の電子計算機に備えられた…

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