交通事故処理

NEW2024.03.14 【交通事故処理】

被害者請求は不可能か? 時効を理由に拒否される

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Q

 数年前に交通事故に遭い障害を負いました。これまで後遺障害等級の異議申立などもしたほか、賠償金額をめぐっては加害者・損害保険会社と交渉するもまだ解決できない状況です。経済的な困窮から、後遺障害等級10級の自賠責保険金額(461万円)を被害者請求したのですが、時効を理由に拒否されました。どうしたらよいでしょうか。【千葉・I生】

A

症状固定から3年なら 任意保険が中断で進行せず

 時効とは、「法律で、一定の事実状態が一定期間継続した場合に、真実の権利関係に合致するかどうかを問わずに、その事実状態を尊重して権利の取得・喪失という法律効果を認める制度」をいいます。分かりやすくいうと、「一定期間が経過してしまえば(何はともあれ、法的な)効果がなくなること」です。相談者の場合でいえば、自賠責保険に対する被害者請求の期間が一定期間経過したため、効果がなくなったということになります。つまり、時効になる2年間が過ぎてしまったので、保険金額を請求できなくなったということです。

 損害賠償請求における被害者請求とは、…

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2024.02.29 【交通事故処理】

被害者側に過失はあるか 飛び出してきた子はねる

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 私は自動車を運転中に歩道から急に飛び出してきた3歳の子をはねてしまいました。その子は母親と手をつないで歩道を歩いていたのですが、母親が知人と出会って手を離して話に夢中になっている間に子が飛び出してしまったと聞きました。3歳の子は不法行為責任を負わないと聞いたことがあるのですが、このような場合、過失相殺をすることも認められないのでしょうか。【神奈川・I生】

A

監督者の不注意も考慮 事理弁識能力ない可能性

 交通事故の損害賠償においては、被害者にも落ち度がある場合は、公平の観点から一定の割合で損害賠償額が減額されます。これを過失相殺といいます(民法722条2項)。この場合の被害者の過失とは、必ずしも加害者として不法行為責任を負う際の過失と同じものとは解されておらず、たとえば不法行為責任を負う場合に必要とされる「加害者に責任能力があること」までは要求されないといわれています。

 民法712条は、未成年者が「自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったとき」には責任能力がないと定めていますが、…

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2024.02.15 【交通事故処理】

負傷箇所重なった影響は 2度目の交通事故に遭う

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Q

 1年に2回も交通事故に遭いました。最初は自動車の追突事故によるむち打ち症(頸椎捻挫)でした。その治療・リハビリ中にまた追突事故に遭って、同じ箇所を負傷しました。両方の加害者に対する損害賠償はどのように分けて考えればいいのでしょうか。【島根・M生】

A

賠償分担できればベター 被害や回復具合も影響

 交通事故の治療・リハビリ中に交通事故に遭って負傷するというケースは珍しいことではありません。3回目、4回目ということもあります。回数が続けば被害者の落ち度、不注意といったことが問題にならないわけではありません。それはともかく、本来ならケガの治療中やリハビリ中は運転をしないほうが望ましいのですが、そうした余裕はないことが多いのが実情です。

 たとえば、タクシーやトラックなど運転を主とする職業だと、…

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2024.01.31 【交通事故処理】

新品代金は認められるか 交通事故の物損被害

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Q

 先日交通事故に遭った際、身に着けていた衣服が破れ、プレゼントとして受け取り大切にしていた腕時計が壊れてしまいました。新品を買い直すための費用や精神的苦痛に対する慰謝料を相手方に請求したいのですが、可能でしょうか。また、請求に際して気を付けておくことはありますか。【東京・I生】

A

「時価」が賠償額限度に 慰謝料は原則認められず

 物損被害については、全損の場合、賠償額は時価が基本となります。つまり、当該交通事故発生時点においてその物が持つ市場価格により賠償額が決定されるのです。

 例えば、仮に腕時計が100万円で購入したものであったとしても、事故発生時点での価値が10万円と評価されたなら、それが腕時計に係る物的損害賠償金の限度額となります。…

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2024.01.15 【交通事故処理】

役員報酬補償されないか 営業活動できず売上げ減

キーワード:
  • 損害賠償
Q

 横断歩道で自動車と接触し受傷しました。そのためしばらく会社の仕事に復帰できませんでしたが、私は役員であり、役員報酬をもらっているのでその分は補償されないとのことです。確かに報酬自体の減額はありませんでしたが、営業活動ができず、会社にとっては売上げなどでマイナスが発生しています。この埋め合わせはされないのでしょうか。【兵庫・S生】

A

労務提供の対価なら対象 企業損害として請求も

 相談者は会社の役員であると同時に営業活動にも従事しているわけですから、その休業損害は発生しています。ただし、会社から役員報酬が支払われているので相談者には損害(休業損害)は発生していません。

 このような事例を法的にみますと、交通事故の損害賠償額を算定するうえで参考になる本、「損害賠償額算定基準(いわゆる赤本)」に次のように記されています。…

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