労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2021.09.30 【判決日:2021.02.25】
トールエクスプレスジャパン事件(大阪高判令3・2・25) 能率手当の計算で残業代控除を認めた一審は? 歩合給に時間効率反映も可
ジャンル:
  • 割増賃金
  • 賃金

 歩合給である能率手当から時間外割増賃金相当分を引かれた貨物の集配ドライバーが、未払賃金を求めた。大阪高裁も一審同様、割増賃金は明確に区分され対価性も有すると判断。業務の「時間的効率向上」を考慮要素とする制度には合理性が認められ、過半数労組と合意のうえ導入・改定していた。集配順や経路に裁量があり時間短縮が可能としている。賃金全体では固定給……[続きを読む]

2021.09.24 【判決日:2020.03.03】
海外需要開拓支援機構ほか事件(東京地判令2・3・3) 派遣先の懇親会行事で精神的苦痛受けたと提訴 職場環境配慮義務違反なし
ジャンル:
  • セクハラ
  • 女性
  • 派遣

 派遣先でのセクハラや懇親会行事で精神的苦痛を受けたとして、派遣労働者が会社の職場環境配慮義務違反を理由に損害賠償を求めた。東京地裁は行為を一部違法と認めたが、派遣先が労働者の通報を受け適切な調査をし、加害者へ厳重注意したことを評価。派遣元の責任に関しては、原告自身が相談窓口を利用せず、具体的措置を求めていないことなどから、同義務違反は認……[続きを読む]

2021.09.16 【判決日:2020.11.11】
レジェンド元従業員事件(福岡高判令2・11・11)同業の保険代理店へ転職、顧客営業して賠償は 競業避止特約不利益大きい
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 競業避止義務

 同業他社へ転職した保険営業マンに対し、保険代理店が自社の顧客への営業活動を理由に損害賠償を求めた。誓約書に退職後の競業避止特約があった。一審は一部損害と認めたが、福岡高裁は、顧客すべてに対する営業禁止は公序良俗に反するとした。これまで獲得した顧客がすべて含まれ不利益が大きく、金銭の代償措置もなかった。顧客から引き合いを受け本人が勧誘した……[続きを読む]

2021.09.09 【判決日:2021.01.22】
関西外国語大学事件(大阪高判令3・1・22) 不誠実な団交理由に授業一部拒否、懲戒有効か 「指名スト」の正当性認めず
ジャンル:
  • 労働組合
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 組合活動

 担当授業を拒否してけん責処分とされた組合員5人が、処分無効等を求めた事案の控訴審。組合は団交でコマ数削減を求めたが、何年も平行線をたどり膠着状態だった。大阪高裁も、会社は誠実交渉義務を果たしたが、一部組合員の「指名スト」により自力執行したもので、争議行為の目的は正当性を欠くと判断。行為の態様も、他の教員の負担増加などを招き人事管理権を侵……[続きを読む]

2021.09.02 【判決日:2020.12.04】
東京都就労支援事業者機構事件(東京地判令2・12・4) 事務局長を中途採用、セクハラで解任し雇止め 降格後の職務で更新認めず
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 事務局長(1年間の有期雇用)を、セクハラを理由に局員に降格して雇止めした事案。63歳で採用後、5年目に降格となり期間満了で雇止めした。東京地裁は、70歳定年と定め、雇用継続期間等も考慮すると更新期待に合理的理由はあると判断。一方で、降格は賃金の不利益はないなど人事権の裁量の範囲内としたうえで、局員としての十分な業務量はない等地位確認の請……[続きを読む]

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