東京都就労支援事業者機構事件(東京地判令2・12・4) 事務局長を中途採用、セクハラで解任し雇止め 降格後の職務で更新認めず

2021.09.02 【判決日:2020.12.04】
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 事務局長(1年間の有期雇用)を、セクハラを理由に局員に降格して雇止めした事案。63歳で採用後、5年目に降格となり期間満了で雇止めした。東京地裁は、70歳定年と定め、雇用継続期間等も考慮すると更新期待に合理的理由はあると判断。一方で、降格は賃金の不利益はないなど人事権の裁量の範囲内としたうえで、局員としての十分な業務量はない等地位確認の請求は斥けた。

人事権行使有効に 月給は同額支払う

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 労働者甲は、事業者の立場から犯罪者などの就労を支援し、再犯防止に寄与していくことを目的として設立された特定非営利活動法人東京都就労支援事業者機構(以下、機構法人という)に期間(1年間)の定めのある雇用契約に基づき、事務局長として勤務していた者である(採用時63歳)。事務局長および事務所職員の定年は、70歳と定められていた。

 セクハラ等を理由に平成30年11月10日、機構法人は甲の事務局長の職を解いて、事務局職員に降格した。機構法人は同日、乙を事務局長に任命した。

 甲と機構法人は平成26年4月21日に有期の雇用契約(本件雇用契約)を締結して、年度末毎に1年更新してきたが、甲は平成31年2月4日機構法人に対し、同年4月1日以降も本件雇用契約を更新するよう申し入れた。機構法人は本件雇用契約を更新せず、同年3月31日付で雇止めを行った。

 これに対し、甲は機構法人に対し、①事務局長から事務局職員に降格したことは人事権の濫用であり、無効である、②本件契約の更新を拒絶したことは労働契約法19条に違反し無効である、と主張して地位確認、賃金等の支払いを求めて訴えを提起した。

 本判決はおよそ以下のように判示して、甲の請求をいずれも斥けた。

判決のポイント

① 降格の有効性

 甲には、機構法人の事務局長としての適格性を疑わせる事情が複数存在し…、

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令和3年9月6日第3319号14面 掲載

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