社会福祉法人緑友会事件(東京地判令2・3・4) 育児休業から復職認めず保育士を退職扱いは? 妊娠出産後の解雇で無効に

2021.08.05 【判決日:2020.03.04】
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 育休明けの復職が認められず退職扱いされた保育士が、産後1年以内の解雇で違法無効と訴えた。妊娠出産等が解雇理由でないことを証明すべきところ、東京地裁は、解雇には客観的に合理的な理由が必要であり、園が主張する数々の問題行動は事実と認められないか、あるいは解雇相当と評価できないとした。解雇権濫用としたうえで、均等法違反に慰謝料30万円等の支払いを命じた。

合理的な理由欠く 均等法違反し賠償

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、保育士としてYの経営する保育園に勤務していたが、平成29年5月10日に第1子を出産し、翌年3月、復職の意向を伝えたところ、理事長から復職させることはできない旨伝えられ、5月9日付で退職扱いとなった。Xは、本件は解雇であり、客観的合理的理由および社会通念上相当性を欠いて権利の濫用に当たり、また、出産から1年以内の解雇であり、均等法9条4項に違反して無効であると主張して、Yに対し地位確認請求をするとともに、解雇後の賃金および賞与等の支払いを求め、さらに本件解雇は不法行為に当たると主張して、本件解雇により受給することができなかった産休・育休期間中の社会保険給付相当額の損害賠償金および精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めて提訴した。

 これに対し、Yは、合意退職の成立を主張するとともに、仮に解雇だとしても、Xは平成26年4月頃からB園長やC主任等の管理職に対して敵対するようになり、他の保育士とともにグループを構成し、B園長の指示、提案等に従わず、ことあるごとに園長等に対する批判的言動を繰り返しており、このような態度は、職場環境を著しく悪化させ、業務にも支障を及ぼす行為であることから解雇に至ったもので、本件解雇には客観的合理的理由と社会的相当性があると主張した。

判決のポイント

1 退職合意の成否

 退職の意思を確定的に表明する意思表示があったと認められるか否かについては、…

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令和3年8月9日第3316号14面 掲載

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