労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.11.30 【判決日:2023.02.02】
グッドパートナーズ事件(東京高判令5・2・2) 2カ月の派遣満了、雇止め無効とした一審は? 更新ゼロでも強い継続期待
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 派遣労働者に有期雇用契約の更新が確定したとのメールを送信した後の雇止めを無効とした事案の控訴審。派遣期間に合わせて2カ月契約を締結していた。東京高裁も、メールの内容は更新に強い期待を抱かせるとして雇止めを無効とした。労働契約法19条2号に基づき、従前の2カ月契約で更新したものとみなした。メールに記載のない2度目の更新の期待は認めなかった……[続きを読む]

2023.11.24 【判決日:2021.12.13】
バークレイズ証券事件(東京地判令3・12・13) 外資系金融の部長解雇、高報酬で地位不安定!? 人員削減する必要性認めず
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  • 整理解雇
  • 解雇

 外資系金融機関の部長が、専任のポジションの廃止に伴う退職勧奨を拒否して解雇されたため、地位確認等を求めた。会社は、高報酬ゆえ地位が不安定などと雇用慣行を強調したが、東京地裁は、整理解雇を無効とした。職位廃止と解雇の必要性は別次元の問題で、人員削減の必要性を否定した。地位や職種限定の合意は認められず、降格や賃金減額など解雇回避努力も怠った……[続きを読む]

2023.11.16 【判決日:2023.01.17】
学校法人横浜山手中華学園事件(横浜地判令5・1・17) 妊娠中の休業撤回され混乱、業務に支障と解雇 不利益な取扱いで違法無効
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  • 均等待遇
  • 女性
  • 職務能力
  • 解雇

能力不足といえず 地位確認を認める 筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)  妊娠中の休業の申出を撤回したり、育休の延長申請で業務に支障が生じたとして普通解雇した事案。教員の地位確認請求に対して、横浜地裁は、不利益取扱いに当たり解雇無効と判断。休業中の賃金を6割とする扱いに不満を持ち、撤回することも不合理とはいえないとしている。女性の言動……[続きを読む]

2023.11.09 【判決日:2023.04.27】
アメリカン・エキスプレス・インターナショナル事件(東京高判令5・4・27) 育休中に組織改編、配転や役職変更は不利益か キャリア形成配慮せず違法
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  • 均等待遇
  • 女性
  • 配転・出向

37人いた部下ゼロ 話合いも不十分で 筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)  育休中に組織を改編し、復職した労働者の部署や役職を変更したことが、不利益取扱いに当たるか争われた。一審は、基本給は減少しないなどとして法違反を否定した。東京高裁は、37人いた部下を1人もつけず電話営業に従事させたことは、妊娠前と比べて業務の質が著しく低下し、……[続きを読む]

2023.11.02 【判決日:2022.09.12】
郵船ロジスティクス事件(東京地判令4・9・12) うつ病で2年弱休業状態、有期契約の途中解雇 直ちに雇用終了可能と認定
ジャンル:
  • 労災
  • 業務上・外認定
  • 病気
  • 解雇

 うつ病で休業中だった有期契約労働者を、期間途中で解雇した事案。労働者は、うつ病発症はパワハラが原因で労基法の解雇制限に抵触するなどと主張した。東京地裁は、心理的負荷の程度を強度とは評価できず、業務起因性を否定。休業は約1年8カ月に及び、医師の診断書からは症状の改善傾向は窺えず今後の稼働可能性は皆無として、雇用を終了せざるを得ないとした。……[続きを読む]

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