労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2020.11.26 【判決日:2019.12.12】
レインズインターナショナル事件(東京地判令元・12・12) 100時間の固定残業代、公序良俗違反で無効? 繁忙期に差額支払われ有効
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  • 割増賃金
  • 賃金

 深夜割増を含む計100時間分の固定残業代を支払っていた飲食店の店員が、公序良俗違反で無効と訴えた。東京地裁は、当時の限度基準告示を大きく上回るが、直ちに違法等とはいえないと判断。時期により残業数に大きな差があるものの、超過部分は差額が支払われたことなどから賃金体系上も残業代の対価と認めた。勤怠システムの休憩時間は実態を反映しておらず、取……[続きを読む]

2020.11.19 【判決日:2019.11.13】
アメックス(降格等)事件(東京地判令元・11・13) 育休中に原職消滅、リーダーから外され違法? 同じ職務等級で不利益否定
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  • 均等待遇
  • 女性
  • 昇給昇格・降格

 育休前は営業部門のチームリーダーだった女性が、復帰後にリーダーから外されたのは違法無効と訴えた。所属チームは育休中の組織再編で消滅していた。東京地裁は、ジョブバンド(職能等級)の低下を伴わない役職の変更を不利益な降格でないと判示。復帰後に新チームが発足したが、会社は勤務態度も考慮したうえですでにリーダーに相当する役職へ配置しており、通常……[続きを読む]

2020.11.12 【判決日:2020.02.27】
信愛学園事件(横浜地判令2・2・27) 幼稚園園長を有期雇用、園児事故などで雇止め クビ決定後の問題重視せず
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 約10年間有期契約で勤務した幼稚園の園長が、雇止めされたため労働契約上の地位確認を求めた。横浜地裁は、職務の内容等から元園長の契約を労働契約とした。慣例で定年や任期もないなど更新期待に合理的理由があるとしたうえで、園が雇止めの理由とした園児の転落事故は、理事会で雇止めを決定した後のもので更新拒絶の理由として重視できないと判断。無期転換も……[続きを読む]

2020.11.05 【判決日:2019.12.16】
中労委(学校法人Y)事件(東京地判令元・12・16) 発注者の苦情で解雇、事実無根と直に団交要求 雇用終了への支配力認めず ★
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  • 労働組合

 警備中に大学の職員へセクハラをした事実はないとして、警備員が大学に謝罪等の団交を求めたが拒否された事案。不当労働行為ではないとした中労委命令の取消しを求めた。警備会社は解雇したがその後撤回した。東京地裁は団交の議題である雇用終了の決定について、大学は雇用主と同視できるほど現実的かつ支配力を有していないと判断して請求を斥けた。偽装請負も否……[続きを読む]

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