中労委(学校法人Y)事件(東京地判令元・12・16) 発注者の苦情で解雇、事実無根と直に団交要求 雇用終了への支配力認めず ★

2020.11.05 【判決日:2019.12.16】
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 警備中に大学の職員へセクハラをした事実はないとして、警備員が大学に謝罪等の団交を求めたが拒否された事案。不当労働行為ではないとした中労委命令の取消しを求めた。警備会社は解雇したがその後撤回した。東京地裁は団交の議題である雇用終了の決定について、大学は雇用主と同視できるほど現実的かつ支配力を有していないと判断して請求を斥けた。偽装請負も否定している。

「使用者性」を否定 交渉事項ごと判断

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Z1(以下「会社」)は、Y大学(以下「大学」)から、大学構内の保安警備業務を受託し、Z2は、平成9年から同社に雇用されて同受託業務に従事していた者である。平成13年、会社は、大学から、Z2が大学の女性職員に対してセクハラを行った旨の苦情が寄せられたことなどを理由として、Z2を解雇した。

 平成17年に、Z2は会社に対し地位確認訴訟を提起した。なお、平成16年の大学の調査で、Z2のセクハラ行為は確認されなかった。会社は、解雇の責任は大学にあると主張していたが、訴訟係属中に解雇を撤回し、判決では賃金のバックペイを命じられ、これを支払った。

 一方、大学は、会社が、解雇は大学の指示に基づくものであるとの虚偽の事実を労働組合等に主張したことによって、大学正門等で情宣活動がなされる等の損害を被ったとして、会社に対して損害賠償請求訴訟を提起し、裁判所は、大学が解雇を指示したことはないとして、会社に損害賠償を命じた。

 平成24年、Z2は、本件労働組合Xに加入し、Xは会社と大学に対し、謝罪や金銭解決について交渉を申し入れたが、会社は交渉に応じず、大学は使用者ではないとして交渉に応じなかった。

 Xは、会社と大学を被申立人として、団交拒否を理由に不当労働行為救済申立てをし、労働委員会は、会社に対し団交に応じるよう命じ、大学に対する申立ては、大学は使用者には当たらないとして棄却した。中労委では、(組合と会社は取下げ)大学は使用者には当たらないとして再審査申立てを棄却し、Xはこれを不服として東京地裁に行政訴訟を提起した。…

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令和2年11月9日第3280号14面 掲載

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