労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.02.24 【判決日:2022.03.28】
東京芸術大学事件(東京地判令4・3・28) 約20年契約更新した非常勤講師を雇止め有効か 労契法上の労働者性認めず
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  • 労働者
  • 労基法の基本原則
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 有期労働契約を更新されず雇止めされたとして、非常勤講師が地位確認を求めた。委嘱契約を約20年間更新されていた。東京地裁は、労働契約法の労働者に該当しないとして請求を退けた。授業内容の策定等の指揮命令を受けず、遅刻早退の賃金控除や保険料の徴収もなかったほか、大学の本来的業務に不可欠な労動力として組み込まれていなかったことも考慮している。……[続きを読む]

2023.02.16 【判決日:2022.07.20】
ヤマサン食品工業事件(富山地判令4・7・20) 60歳から嘱託と合意したが懲戒理由に取り消す 定年後再雇用の期待認める
ジャンル:
  • 定年・再雇用
  • 退職

 定年後の労働条件を合意した後に懲戒処分を受けた従業員が、再雇用を拒否されたため地位確認を求めた。富山地裁は、高年法の指針に基づき継続雇用しないことができる解雇事由に該当せず、再雇用の期待は合理的と判断。懲戒事由を理由とした不法行為の成立は否定した。合意の内容で契約が成立し、年金の支給が開始される64歳までの更新期待は極めて高いとしている……[続きを読む]

2023.02.09 【判決日:2022.06.06】
国・中労委(セブン-イレブン・ジャパン)事件(東京地判令4・6・6) フランチャイズ契約で団体交渉応諾義務あるか 労務供給せず労働者性なし ★
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  • 労働組合

 コンビニのFC加盟店で組織する労働組合が、労組法上の労働者に当たらないとした中労委命令の取消しを求めた。東京地裁は、FCシステムの提供事業者と加盟事業者の関係に過ぎず、労務供給関係にないとして労働者性を否定。加盟店の経営は独自の責任と手腕で行われ、事業組織への組入れや労務提供の在り方が一方的、定型的に定められているとはいえないとした。……[続きを読む]

2023.02.02 【判決日:2022.03.15】
リクルートスタッフィング事件(大阪高判令4・3・15) 有期派遣スタッフは交通費なく不合理な待遇? 手当不支給の仕事自ら選択
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 派遣

 通勤手当の支給がない登録型の派遣スタッフが、労契法旧20条の不合理な労働条件として損害賠償を求めた事案。一審は請求を退けた。大阪高裁は、短期雇用であり配転の可能性は少なく、手当が支給される業務を選択できたことなどから控訴を棄却した。通勤交通費の負担を考慮して時給を設定し、競合他社と比べて高めに設定したことも不合理性判断の要素としている。……[続きを読む]

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