労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2021.06.24 【判決日:2019.12.24】
恩賜財団母子愛育会事件(東京高判令元・12・24) 管理監督者でなく割増を、管理職手当は返還!? 付加金命じた部分取り消す
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  • 割増賃金
  • 賃金

 割増賃金の支払いを求められた病院が、管理職手当の受給資格がないと返還を求めた。手当返還に関して争った東京高裁も病院の不当利得返還請求は理由があるとしたうえで、一審で付加金を命じた部分を取り消した。一審後に病院は管理監督者でないことを認めて割増賃金の一部を弁済し、受領を拒絶された部分を供託していた。円満解決を図るため医師と交渉の機会を持っ……[続きを読む]

2021.06.17 【判決日:2019.03.08】
東京現代事件(東京地判平31・3・8) 競業行為で解雇に、取締役は就労知っていた!? 兼業の許可あったと認めず
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  • 兼業・アルバイト
  • 労働契約上の権利義務
  • 服務規律
  • 解雇

 無許可で同業他社の役員になるなど兼業禁止の服務規律違反を理由に即時解雇した事案。地位確認請求に対して東京地裁は、当時の代表取締役は兼業の事実を知っていたがそれをもって許可したとはいえないと判断。会社のPCを使って情報の一部を流用するなど解雇は社会通念上相当とした。兼業禁止は就業規則の解雇事由と定められていなかったが、同事由を例示列挙とし……[続きを読む]

2021.06.10 【判決日:2020.11.25】
ハマキョウレックス無期転換事件(大阪地判令2・11・25) 無期転換後の労働条件も“格差あり”と損賠請求 契約社員就業規則に合理性 ★
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  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金
  • 周知・効力
  • 就業規則

 無期転換した運転者が、正社員就業規則の適用があるとして差額賃金等を求めた。有期契約の当時に、正社員との手当の相違を不合理とした最高裁判決後の事案。大阪地裁は、無期転換後も引き続き職務内容等に相違があるが、正社員と労働条件の均衡が保たれている限り、契約社員就業規則は労契法7条の合理性を満たすと判断。労組との交渉や雇用契約書で同規則の適用に……[続きを読む]

2021.06.03 【判決日:2019.05.27】
長崎市立病院機構事件(長崎地判令元・5・27) 医師の勉強会や文献調査した時間に残業代請求 自己研さんの一部は“労働”
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  • 労働時間

 亡くなった医師の遺族が、勉強会や文献調査などの時間に割増賃金等を求めた。長崎地裁は、個々の業務との関連性を検討したうえで判断。勉強会の講義や準備時間を労働時間とした一方で、疾患や治療方法の文献調査(自己研さん)のうち、担当患者に関する調査は労働時間、それ以外の専門分野は労働時間に該当しないとしている。客観的な記録がなく病院の滞在時間の9……[続きを読む]

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