労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2022.06.30 【判決日:2021.08.05】
河合塾事件(東京地判令3・8・5) コマ数削減を拒否した予備校講師の雇止めは? 労働条件引下げに“合理性”
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 契約更新時に担当授業のコマ数の削減を提示された予備校講師が、従前と同じ条件で更新を求めたところ雇止めされたため、地位確認を求めた。東京地裁は、更新の合理的期待を判断するうえで、更新の概念は同一の条件による再締結を意味するものではないとした。評価をもとにコマ数を削減された講師が存在する中で、1コマ減に留めたことは合理的などとして雇止めを有……[続きを読む]

2022.06.23 【判決日:2021.12.16】
学校法人専修大学(無期転換)事件(東京地判令3・12・16) 大学の非常勤講師、無期転換まで10年間必要!? 5年ルール適用し地位確認
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 無期転換権の行使を拒否された大学の非常勤講師が、期間の定めのない地位確認等を求めた。大学は、10年経過しなければ転換権がないとする科技イノベ活性化法の適用があると主張した。東京地裁は、研究開発や関連業務に従事せず研究者には当たらないとして請求を認めた。職務は授業や試験等に限られ、研究で裏打ちされた見識に基づくとしても業務自体は研究等に該……[続きを読む]

2022.06.16 【判決日:2022.03.18】
山形大学事件(最二小判令4・3・18) 無理な団交強いると労委命令取消した原審は 誠実団交 “合意見込み”問わない ★
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  • 労働組合

 誠実に団交に応じるべきとされた大学が、労働委員会の救済命令の取消しを求めた行政訴訟。合意する見込みのない団交を強いたとして同命令を取り消した原審に対して、最高裁は、誠実交渉義務に違反した場合には合意成立が見込まれなくても、同命令を出せると判示。誠実な交渉により労組は十分な説明や資料の提示を受けられるため、正常な集団的労使関係秩序の回復に……[続きを読む]

2022.06.09 【判決日:2021.10.28】
大器キャリアキャスティングほか事件(大阪地判令3・10・28) 所定休日は元請で副業し連勤・長時間労働に… 安全配慮義務違反を認めず
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  • 副業・兼業
  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 24時間営業のガソリンスタンドの夜間運営を請け負う会社の従業員が、休日に同店を運営する元請で副業し、過労死ラインを上回ったなどとして2社に損害賠償等を求めた。大阪地裁は、労働時間、休日に関する労基法の趣旨を損なう行動を自ら積極的に取っており、会社が休むよう注意していたことも考慮して安全配慮義務違反を否定。深夜帯の労働密度は薄いなど、負担……[続きを読む]

2022.06.02 【判決日:2020.11.24】
ロジクエスト事件(東京地判令2・11・24) 社名入り制服やカートを使用し労働者性あり!? 配送業務は委託契約に該当
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  • 労働者
  • 労基法の基本原則

 配送業務の委託契約を解除された者が、実態は「労働者」であり解雇無効と訴えた。社名入りの制服やキャリーカートを使用していた。東京地裁は、制服着用等の目的は円滑な業務遂行であり、労働者性を基礎付けるものとはいえないと判断。受注するか諾否の自由があり、基本的な業務遂行方法も裁量を有するとしている。報酬は配送距離や件数から算出し、時間との結び付……[続きを読む]

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