労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.08.31 【判決日:2022.11.02】
医療法人佐藤循環器科内科事件(松山地判令4・11・2) 賞与支給日の20日前死亡、遺族が支払い求める 病死に“在籍要件”適用せず
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  • 賃金
  • 賞与

 夏季賞与の支給日の20日前に私傷病で病死した従業員の遺族が、賞与の支払いを求めた。松山地裁は、病死退職に賞与支給日の在籍要件を適用することは公序良俗に反すると判断。病死は事前に予測できず、在籍要件を適用すれば労働者に不測の損害が生じるとした。算定期間は満了するなど支給額は確定した状態で、受給期待は法的保護に値するとして、全額支払いを命じ……[続きを読む]

2023.08.24 【判決日:2023.01.25】
国立大学法人東北大学(雇止め)事件(仙台高判令5・1・25) 就業規則変えて更新上限5年、無期転換逃れ? “常用性”なく雇止めは有効
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 事務補助業務などに従事して、期間満了で雇止めされた職員が、地位確認等を求めた事案の控訴審。就業規則を改正して無期転換に必要な期間のカウントを開始する平成25年度から5年を上限とした。仙台高裁も雇止めは違法無効とはいえないと判断。基幹的業務といえず契約期間で業務が変化していることから雇用の常用性を否定した。労働契約法に抵触しないとしている……[続きを読む]

2023.08.10 【判決日:2023.06.27】
退職手当支給制限処分取消請求事件(最三小判令5・6・27) 酒気帯び運転し免職、退職金3割支給の原審は 勤続報償中心で不支給認容 ★
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  • 賃金
  • 退職金

 マイカーの酒気帯び運転で懲戒免職された公立教員が退職手当の支給を求めた上告審で、最高裁は3割の支給を命じた原審を変更して全額不支給を認めた。退職手当を勤続報償的な性格が中心と認定。賃金の後払的な性格も含まれ、約30年間懲戒歴がないことを考慮しても、教委が飲酒運転の処分は厳格に対応すると注意喚起していたことから不支給に裁量の逸脱はないとし……[続きを読む]

2023.08.03 【判決日:2022.12.26】
伊藤忠商事ほか1社事件(東京地判令4・12・26) 退職申出後、機密情報を私的に保存したとクビ 漏えいないが懲戒解雇有効
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  • 守秘義務違反
  • 懲戒・懲戒解雇

 退職直前に機密情報をクラウドにアップロードしたとして、懲戒解雇された商社マンが企業年金基金に退職金支払等を求めた。東京地裁は、情報漏えいもなく会社に金銭的損害は生じていないが、機密情報を不正に目的外に利用したとして懲戒解雇相当と判断。退職金不支給もやむを得ないとした。会社が情報を区分して管理しておらず、不正競争防止法には反しないとした。……[続きを読む]

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