労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2022.10.27 【判決日:2021.12.27】
浜田事件(大阪地裁堺支判令3・12・27) 賃金規程や契約書なし、外勤手当は割増賃金? 固定残業代の個別合意有効
ジャンル:
  • 割増賃金
  • 賃金

 就業規則に明記のない固定残業代は無効として割増賃金等の支払いを求めた事案で、大阪地裁堺支部は制度を有効と判断した。就業規則はあるが賃金規程も雇用契約書もなかった。外勤手当が残業代見合いであることは入社時や年2回の面談を通じて割増単価の計算式に関する図表を表示し説明していたとしたうえ、本人から質問はなかったことなどから理解、合意していたと……[続きを読む]

2022.10.20 【判決日:2022.03.15】
X事件(横浜地判令4・3・15) 美容院店長が顧客情報利用禁止の仮処分求める 退職後も秘密保持義務負う
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 競業避止義務

 美容院のオーナー店長が、退職した元従業員に対し顧客情報の利用禁止を求める仮処分を申し立てた。横浜地裁は、雇用時に結んだ退職後も営業秘密を保持する誓約書を有効とし、2年間の営業活動等を禁じた。顧客名や電話番号等データベース化し管理していた情報を利用したことで、売上げ等の営業上の利益を侵害するとした。在職中に情報秘密保持手当を支給したことも……[続きを読む]

2022.10.13 【判決日:2021.12.22】
ユナイテッド・エアーラインズ事件(東京高判令3・12・22) 成田事業場を閉鎖、整理解雇有効の一審判断は 可能な限り回避措置講じる
ジャンル:
  • 整理解雇
  • 解雇

 航空会社の客室乗務員が、整理解雇されたため地位確認等を求めた事案の控訴審。国際線の業務量が減り、所属する成田ベースが閉鎖された。東京高裁は、契約で職種を限定している中で、年収水準を維持した配転の提示や早期退職に伴う退職金の加算など解雇の不利益を緩和する可能な限りの回避措置を講じたと評価。団交を複数回行うなど整理解雇4要素に照らしても解雇……[続きを読む]

2022.10.06 【判決日:2022.03.08】
A病院事件(札幌高判令4・3・8) 退職願は未提出、口頭の辞意表明撤回できるか 一審を覆して合意解約成立
ジャンル:
  • 退職
  • 退職願

 退職願を提出せず口頭での退職申出は撤回したなどとして、未払賃金等を求めた事案。一審は確定的な退職の意思表示とはいえないとしたが、二審の札幌高裁は事務部長との面談で退職日を決定した後の撤回は効力がないとした。退職願を提出するよう就業規則に規定していたが、個別の合意が優先するとしている。同部長が退職するなら懲戒処分しないと告げたが強迫したと……[続きを読む]

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