労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2021.03.25 【判決日:2020.07.20】
淀川交通事件(大阪地決令2・7・20) 性同一障害の運転者、就労拒否され賃金請求 化粧理由に乗務禁止は不当
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  • 賃金
  • 賃金請求権

 性同一性障害のタクシードライバーが、化粧を理由に乗務を禁じられたとして、賃金の仮払いを求めた。大阪地裁は、女性と同等に化粧することを認める必要性があると判断。化粧の濃さなどを問題視せず就労を拒否したことに必要性も合理性もなく、民法に基づき賃金100%の支払いを命じた。会社が主張した乗客の苦情の有無は明らかでなく、会社が不利益を被るとは限……[続きを読む]

2021.03.18 【判決日:2020.03.25】
学校法人追手門学院事件(大阪地判令2・3・25) “懲戒解雇は無効”と訴えられた大学が普通解雇 直ちに解雇処分は重過ぎる
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  • 内部告発
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 解雇

 大学のセクハラ対応をめぐり、学外に情報を漏えいしたとして、名誉毀損などで懲戒解雇された教授らが地位確認を求めた。その後、大学は予備的に普通解雇した。大阪地裁は、30年以上処分歴がなく懲戒解雇を無効としたうえで、著しい勤務不良など普通解雇事由は認められず、減給など将来を戒めずに行われた解雇を重過ぎるとした。「時機に後れた」普通解雇との主張……[続きを読む]

2021.03.11 【判決日:2020.02.24】
O・S・I事件(東京地判令2・2・4) 2週間出勤しなかったと就業規則の自然退職に 「行方不明」とはいえず無効
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  • 退職

 14日以上連絡が取れず行方不明として、就業規則の自然退職扱いされた従業員が地位確認を求めた。東京地裁は、懲戒解雇事由と別個に設けられた自然退職の趣旨を「出勤を命じたり、解雇の通知や意思表示をする通常の手段が全くない」場合に備えたものと判断。従業員からは休職申出のメールが送信されるなど会社が解雇等の意思表示をすることも不可能といえず、退職……[続きを読む]

2021.03.04 【判決日:2020.07.09】
損害賠償請求事件(最一小判令2・7・9) 交通事故で障害負う、賠償金毎月受け取りたい 一時金でなく定期払い命ず ★
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  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 交通事故で脳挫傷を負った子の両親が、保険会社らに月1回の定期的な損害賠償の支払いを求めた事案の上告審。一時金の場合は利息控除の減額があった。最高裁は、損害の実態に即した公平な賠償を実現する観点から相当と認められる場合に、逸失利益は定期払いの対象になると判示。後遺障害の程度など事情が著しく変化したときは、損害額のかい離を是正するための訴え……[続きを読む]

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