労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2022.11.24 【判決日:2022.04.13】
休業補償給付支給決定取消請求事件(東京地判令4・4・13) 残業代含まない労災給付額は誤りと取消し請求 部長の管理監督者性認めず
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  • 労災

 適応障害で休業した経理部長が、労基法の管理監督者には当たらないとして、割増賃金を含んでいない休業補償給付の支給決定処分の取消しを求めた行政訴訟。東京地裁は、経理部において労務管理や人事考課の権限を持たない点などから管理監督者性を否定。労働時間に裁量はなく、給与は本部長に次いで高額だったが手当の一部は権限や裁量に対応するものではないとして……[続きを読む]

2022.11.17 【判決日:2022.03.23】
学校法人沖縄科学技術大学院大学学園事件(那覇地判令4・3・23) 更新1回で雇止めされた看護師が地位確認請求 業務縮小は“合理的理由”に
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 更新1回で雇止めされた看護師が、地位確認等を求めた。期間途中に診療所が閉鎖され、再開しても業務縮小が見込まれたため雇止めに至ったもの。那覇地裁は、看護師業務は常用性を有するが、診療所の運営状況が縮小方向に変化したことは雇用継続しない合理的な理由と判断。更新は使用者の申入れに対して本人の承諾が必要で、相応に契約を管理していた点等も考慮して……[続きを読む]

2022.11.10 【判決日:2021.11.17】
日本郵便(地位確認等請求)事件(札幌高判令3・11・17) 出張旅費100回も不正受給、懲戒解雇は有効!? 同種事案の処分と均衡欠く
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  • 処分の量刑
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用

 出張先への移動手段を偽り、100回にわたり旅費を不正受給したなどとして懲戒解雇した事案の控訴審。処分有効とした原審に対し、札幌高裁は、非違行為の態様は停職3カ月とされた者と同程度であり、処分の均衡を失するとして無効と判断。不正受給で10人が懲戒処分され旅費支給事務にずさんな面があり、本人に懲戒歴がなく始末書を出し全額返還したことも酌むべ……[続きを読む]

2022.11.04 【判決日:2022.05.11】
セヴァ福祉会事件(京都地判令4・5・11) 定期健康診断の病院選んで受診すると自腹に? 健診費用は会社負担が原則
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  • 労働安全衛生法

 定期健診の費用を自己負担した労働者が、会社に費用等を請求した。京都地裁は、原則として会社が負担すべきとした。会社が医療機関等を指定した証拠はないが、安衛法では労働者自ら医師を選択できるとし、定期健診で2万~3万円のコースを受診することは必要かつ合理的と認め、会社に不当利得の返還を命じた。その他、タイムカードの打刻時刻から労働時間を認定し……[続きを読む]

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