労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2022.04.28 【判決日:2021.04.28】
ネオユニット事件(札幌高判令3・4・28) 事業所閉鎖し解雇、やむを得ないとした一審は 回避努力を尽くさず無効に
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  • 整理解雇
  • 解雇

 障害者の就労施設を閉鎖し事業を廃止して、スタッフらを全員解雇した事案の控訴審。閉鎖はやむを得ず解雇有効とした一審に対し、札幌高裁は、整理解雇の法理を当てはめて回避努力が尽くされておらず無効と判断。再就職の都合を考慮して閉鎖時期を決定したり、合意退職に応じてもらうよう調整すべきだったとしている。人選の合理性も認められるが、対応を一部不十分……[続きを読む]

2022.04.21 【判決日:2020.02.26】
広島山陽学園事件(広島高判令2・2・26) 退職後発覚した非違行為、訴訟で主張できる? 雇止め理由の追加を認めず
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 雇止めされた教員が地位確認を求めた事案の控訴審。学校は、訴訟において雇止め後に発覚した非違行為を追加主張した。広島高裁は、退職証明書に記載のない事項は、雇止めの事情として考慮できないと判断。証明書は労働者に解雇の効力を争うか否かの便宜を与えるためのもので、労基法の立法趣旨に反するとした。1年分の賃金支払いを命じたが、次期更新時の雇止めは……[続きを読む]

2022.04.14 【判決日:2021.08.24】
グローバル事件(福岡地裁小倉支判令3・8・24) 障害者施設で寝泊まり、不活動時間の割賃請求 夜間対応2日に1日は労働
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  • 住み込み
  • 労働時間

 障害者福祉施設で働く従業員2人が、泊まり込みで業務を行うなど労働時間は24時間365日と主張して未払割増賃金等を求めた。福岡地裁小倉支部は、施設利用者へ対応をしていない不活動時間の多くも必要があれば対応が予定され、指揮命令下と認定。夜間については、それぞれ対応を分担していたことなどから2日に1日は労働からの解放が保障されていたとしている……[続きを読む]

2022.04.07 【判決日:2021.02.24】
みずほ銀行事件(東京高判令3・2・24) 情報漏えいで解雇、退職金3割とした一審は? “勤続の功”跡形もなく消滅
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  • 賃金
  • 退職金

情報漏えいを理由に懲戒解雇し、退職金を不支給とした事案の控訴審。3割支給を命じた一審に対して東京高裁は、情報の厳格管理や顧客情報の秘密保持が求められる銀行業の信用を著しく毀損する行為で、永年の勤続の功を跡形もなく消し去るのは明確と判断し、全額不支給とした。漏えいした対外秘の行内通達は雑誌やSNSに掲載され、漏えいの悪質性の程度は高いとして……[続きを読む]

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