労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.03.30 【判決日:2022.04.07】
学校法人茶屋四郎次郎記念学園事件(東京地判令4・4・7) 雇止め訴訟で和解、授業外されパワハラと申告 調査対応遅れ慰謝料命じる
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  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 雇止めされたが和解した教授が、和解条項が守られず損害賠償を求めた。和解した週4コマの授業担当から外されたこと、パワハラの申告対応も債務不履行と訴えた。東京地裁は、安全配慮義務上パワハラの審議結果を遅滞なく告知する義務を負うと判断。審議不能の結論が出てから回答まで8カ月余を要する合理的な理由はないとした。授業不担当も債務不履行に当たる。……[続きを読む]

2023.03.23 【判決日:2022.03.30】
竹中工務店ほか2社事件(大阪地判令4・3・30) 偽装請負の状態であり元請へ直接雇用を求める 二重派遣にみなし適用せず
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  • 派遣

 工事の設計・施工図作成を請け負う会社の従業員が、実態は派遣に当たるとして委託先とその親会社に地位確認を求めた。大阪地裁は、親会社の指揮監督下にあり二重派遣の状態としつつ、労働契約申込みみなしの適用を否定。親会社らは派遣の役務の提供を受けたとはいえないとした。派遣に切り替えようとしたほか、違法な就労は2カ月に留まるなど損害賠償請求も退けた……[続きを読む]

2023.03.16 【判決日:2022.05.12】
学校法人早稲田大学事件(東京地判令4・5・12) 教員公募試験に不合格、公正でないと賠償請求 選考過程の開示義務負わず
ジャンル:
  • 労働契約

 公募された専任教員の選考過程の情報開示を求めたが、拒否された非常勤講師が損害賠償を求めた。書類選考で不合格だった。東京地裁は、職安法は根拠になり得ないなどとして請求を退けた。仮に開示が必要な個人情報としても、開示すれば採用の自由を損なうおそれがあるなどとしている。労働組合の団交要求も、義務的団交事項に当たらず応諾義務を否定した。 公表す……[続きを読む]

2023.03.09 【判決日:2022.03.18】
北九州東労基署長事件(福岡地判令4・3・18) 4年前にうつ発病、過重労働で悪化と労災請求 業務量増え心理的負荷“強”
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  • 労災
  • 業務上・外認定

 4年前にうつ病を発症し、その後悪化したのは業務に起因するとして、労災保険給付の不支給処分取消しを求めた。福岡地裁は発病と業務の相当因果関係は否定したが、症状が悪化した直前の残業数は月100時間に達するなど心理的負荷は強として請求を認容。顕著に悪化したのは15日連続勤務の最終日だった。発病当時の上司から再び指導等を受けたことも考慮した。……[続きを読む]

2023.03.02 【判決日:2021.03.18】
T大学事件(東京地判令3・3・18) 通勤手段を偽り手当受給、退職願出さず解雇に 退職金出る懲戒免職は有効
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用
  • 賃金
  • 退職金

 通勤手当を不正受給したとして、懲戒免職(依願退職)となった准教授が、退職願を出さず懲戒解雇されたため地位確認等を求めた。通勤届の電車でなくバイクを利用していた。東京地裁は、不正は採用当初から6年以上にわたり、約200万円の損害も多額などとして請求を退けた。処分歴がないことを考慮しても、退職金が支給される免職処分は裁量権逸脱に当たらない。……[続きを読む]

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