北九州東労基署長事件(福岡地判令4・3・18) 4年前にうつ発病、過重労働で悪化と労災請求 業務量増え心理的負荷“強”

2023.03.09 【判決日:2022.03.18】
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 4年前にうつ病を発症し、その後悪化したのは業務に起因するとして、労災保険給付の不支給処分取消しを求めた。福岡地裁は発病と業務の相当因果関係は否定したが、症状が悪化した直前の残業数は月100時間に達するなど心理的負荷は強として請求を認容。顕著に悪化したのは15日連続勤務の最終日だった。発病当時の上司から再び指導等を受けたことも考慮した。

直近は残業100時間 15日連続して勤務

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 甲は大学卒業後の平成14年4月1日、A社に入社し、平成21年12月1日~27年4月1日の間、B社に出向していた。甲は出向前後を通して、一貫してシステムエンジニア業務に従事した。

 出向中の平成23年4月25日、甲は、「うつ病、不安障害」と診断され、同日以降体調不良を理由に休業したが、同年7月ごろ出向先に職場復帰し、休業前と同じB社内のグループに配属された。その後、甲は、平成26年8月ないし9月頃から27年3月末までの間、人材システム再構築プロジェクトに参加していた。

 出向期間を終え、帰任直後である平成27年4月14日、かかりつけであるZ病院を受診したところ、うつ病・不安障害と診断され、同日以降A社を休職した。

 甲は、業務に起因して平成23年4月に「うつ、不安障害」を発病し、27年4月に症状が悪化したと主張し、北九州東労働基準監督署長(処分行政庁)に対して労災法に基づく療養補償給付の支給を請求したところ、処分行政庁は平成28年6月20日付で、同給付を不支給とする処分を行った。そこで甲は、本件不支給処分の取消しを求めた。

 本件の争点は、①甲の「うつ、不安障害」の発病が業務に起因しているか、②業務に起因して悪化したといえるかである。本判決は、①は否定したが、②を肯定して、本件不支給処分を取り消した。

判決のポイント

 (1)本件発病の業務起因性

 精神障害に係る業務起因性の…

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令和5年3月13日第3392号14面 掲載

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