国・中央労基署長(日本トランスシティ)事件(名古屋地判平21・5・28) 社宅でのうつ病自殺で遺族が労災不支給の取消提訴 脳・心疾患の基準で業務上に ★

2010.09.06 【判決日:2009.05.28】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 国際輸送会社で貨物手配業務を行う労働者が社宅で木炭による一酸化炭素中毒で自殺し、両親が遺族補償給付の不支給取消しを求めた行政訴訟。名古屋地裁は、業務の量・質について、脳・心疾患発症の基準を適用し「月100時間超」の残業は過重であり、困難な業務を上司らの支援もなく一人で担当したこと等から、精神障害を発症、増悪させたとして業務起因性を認めた。

月100時間超の残業 量・質ともに過重

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 Aは昭和48年に出生し、平成8年訴外B社に入社した。

 Aは四日市での研修、勤務を経て、平成12年8月国際事業部国際輸送部東京営業所に配置換えされ、死亡時まで横浜市の社宅で一人暮らしをしていた。

 営業所の主たる業務は、特定顧客の貨物を海上、陸上、航空および鉄道輸送等を複合させて輸送する国際複合一貫輸送の手配や書類作成であったが、Aの担当業務は、このような特定顧客の日常的、定型的業務ではなく、ODA案件その他のプロジェクト案件、設備移設案件のスポット案件であった。

 このような業務を行うには多種多様な案件の情報を入手し、一方で輸送先の代理店候補を探し、各国の法規制その他物流事情を調査して個々の案件について見積りを作成し、受注に向けて営業活動を行い、受命に至ればその営業窓口を確保し輸送手配を行うことになるが、Aはほとんど一人でこれらを行っていた。

 Aの時間外労働時間は、在社と社宅による時間外労働を併せて、大要、平成14年12月には40時間超であったものが、同15年1月には60時間超、同年2月以降はほぼ80時間となり、同年6月および7月には100時間を超える状態であった。

 平成15年6月頃、Aは気分(感情)障害を発症し、…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成22年9月6日第2791号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。