腰痛の発症は業務上災害、休職満了で解雇扱いに? 労災認定は誤りで退職有効 ケー・アイ・エス事件(東京高判平28・11・30)

2017.10.18 【判決日:2016.11.30】

 腰痛に伴う休職期間が満了し、退職後に労災認定された元従業員が地位確認等を求めた。労基法の解雇制限に抵触し自然退職を無効とした一審に対し、二審は、重量物に関して約230㎏のコンテナを持ち上げることは、物理的にムリと判断。会社主張のとおり両手で押して移動させたもので、体格から負荷は過重とはいえず、労災認定は誤りとして退職扱いを一転有効とした。

物理的に運搬ムリ 一審覆し「私傷病」

著者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 会社は業務用スパイスの製造販売等を業とする会社で、八千代工場を有している。

 労働者甲は、平成13年10月に期限の定めのない雇用契約を締結して採用された。八千代工場で微生物検査や書類作成等の業務に従事しており、平成20年以降は品質管理部門の主任の地位にあった。 

 甲は、平成23年1月21日から、腰痛が悪化し就労が困難として休職した。会社は、平成24年1月20日に所定の休職期間が1年を経過したことを理由に甲を退職扱いとした。

 甲は、「コンテナ容器を中腰で下端部に両手をかけて持ち上げて傾ける方法により殺菌器内にスパイス原料を投入する作業を行っていた。その重量は200kgから250kgに達し、このように負荷の大きな作業を繰り返すことにより、…腰痛を発症させたもので、就労不能となったのは業務上の原因によるもの」と主張し、会社が休職期間満了により甲を解雇、退職扱いとしたのは、労基法19条(業務上の負傷・疾病と解雇制限)の定めに違反し無効であるとして、雇用契約上の地位の確認等を求めた。なお、船橋労基署長は、平成26年10月1日、甲の労災法に基づく休業補償給付の請求に対して、支給する旨の決定を下している。

 一審(東京地判平28・6・15)は甲の主張を認めて、会社に腰痛予防のための必要な安全配慮義務違反に対する責任および不法行為による過失責任があるとして、甲の請求をほぼ全面的に認容した。本判決は、東京地判に対する控訴審の判断である。…

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掲載 : 労働新聞 平成29年10月16日第3132号14面

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