X社事件(東京高判平28・1・27) 時間外と深夜含む定額残業代、月45時間超は違法? 残業月70時間分の手当有効

2017.03.27 【判決日:2016.01.27】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 飲食店元店員が、時間外70時間、深夜100時間分の定額残業代は、36協定の限度基準を超え無効と訴えた。一審は、労基法の割増賃金に不足した場合、別途支給する規定があり、手当額から検証可能とした。東京高裁も、法では定額残業代に対応する時間数の明示まで求めていないと判断。限度基準は絶対的上限ではなく、特別条項を無効とすべき事情もないとしている。

限度基準超えても 不足分支払う定め

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、Y社の経営する飲食店で勤務していたが、退職後、在職中の時間外手当および深夜手当(以下併せて「残業代」という)並びに同額の付加金(労働基準法114条)を請求して提訴した。

 Xには、月額31ないし32万円余が支給されていたが、そのうち13万円余が業務手当として支払われていたところ、給与規程には「業務手当は、時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日勤務手当、休日深夜勤務手当の代わりとして支払うものとする。ただし不足がある場合は、別途これを支給する」と定めがあり、Y社は、残業代は業務手当により支払い済みであると主張した。

 原審(横浜地判平26・9・3)は、業務手当は定額残業代として支払われていたものであるとしたが、Y社の主張するような休憩時間が確保できていなかったとして、その分の未払残業代を計算し、業務手当との差額約56万円と遅延損害金(賃確法により退職後は14.6%)および同額の付加金の支払いを命じた。

 Xは控訴して、休日割増の請求を追加し、一方、Y社は原審判決後、X主張の休日割増も含む残業代および遅延損害金のすべてについて弁済を行い、未払割増賃金はないとして附帯控訴した。…

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成29年3月27日第3106号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。