フジビグループ分会組合員ら事件(東京高判平28・7・4) 子会社労組のビラ配布で取引減、親会社が損害賠償請求 組合員個人の不法行為成立

2017.05.24 【判決日:2016.07.04】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 倒産した子会社の労組に抗議された親会社が、取引減など損害が生じたとして、組合員に賠償を求めた。ビラの表現は社会的評価を低下させるとした一審に対し、二審はさらに取引先への文書送付は信用棄損の程度が甚だしいと判断。不法行為で350万円の支払いを命じた。労使関係にない第三者への団体行動も憲法の保障対象だが、正当な行動の範疇を超えるとした。

信用毀損する表現 労使関係問わない

筆者:弁護士 石井 妙子(経営法曹会議)

事案の概要

 F製版株式会社(以下「F社」)は、X社のグループ会社として、X社の本社工場と同じ社屋で業務を行うなどしてきたが、平成24年9月、破産手続開始の決定を受けた。

 F社の従業員であったYらは、破産手続開始に伴って解雇され、その後、約1年半にわたり「X社はF社の社員を雇用する義務がある」、「F社は偽装倒産である」、「Xグループ・A一族の組合つぶし偽装倒産を許すな!」などと記載したビラをX社の本社敷地内、その周辺および近隣の取引先等に配布し、同趣旨の内容が記載された幟をX社の本社周辺に掲示して拡声器で宣伝し、横断幕をX社本社屋上のフェンスや壁に掲示するなどした。

 X社は、Yらの行為により施設管理権および名誉・信用の法的利益を侵害され、売上げや利益が減少する等の財産的損害を被り、また無形損害を被ったと主張して、Yらに対し、共同不法行為による損害賠償請求権に基づき、2200万円およびこれに対する遅延損害金の支払いを求めて提訴した。

 原審(東京地判平28・2・10)は、Yらの行為が信用毀損に係る共同不法行為を構成するものと認めて、350万円およびこれに対する遅延損害金の連帯支払いを認容し、その余の請求を棄却したところ、Yらが控訴し、X社も附帯控訴した。

判決のポイント

 1 信用毀損性

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成29年5月22日第3113号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。