労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.07.27 【判決日:2022.12.23】
東海交通機械事件(名古屋地判令4・12・23) 先輩から暴力受けケガ、病気も発症と賠償請求 パワハラ放置で会社に責任
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 先輩からの暴力で後遺症が残り、適応障害等を発症したとして、加害者と対応を怠った会社に対し、慰謝料等を求めた。名古屋地裁は、書類作成のミスに関して退職を迫る言動や暴力等は指導を逸脱したパワハラと認めたうえ、注意指導の過程で頭を叩くなどの暴行は上司の所長らも認識し得たことから安全配慮義務違反とした。加害者と会社に連帯して賠償支払いを命じた。……[続きを読む]

2023.07.20 【判決日:2022.05.26】
龍生自動車事件(東京高判令4・5・26) コロナ禍で売上げ激減、全員解雇して会社解散 手続的配慮欠くとはいえず
ジャンル:
  • 企業解散
  • 解雇

 コロナ禍で売上げが激減したため解散したタクシー会社の乗務員が、解雇無効と訴えた。請求を退けた一審に続き、東京高裁は、解雇に先立って、急激な経営状況の悪化について労働者へ情報提供することは困難だったとして、解雇が手続的配慮を著しく欠くとはいえないと判断。団体交渉を行い解雇理由の説明や資料提供は行われ、低額でも金銭を給付したことを考慮した。……[続きを読む]

2023.07.13 【判決日:2022.12.15】
阪神電気鉄道事件(大阪地判令4・12・15) 年休の取得認められず欠勤控除、減額分を請求 適法な時季変更で賃金不要
ジャンル:
  • 年休

 年休の時季変更権を行使された乗務員が、出勤しなかったところ賃金を控除されたため違法と訴えた。大阪地裁は、会社は代替勤務者を確保して一定数の年休申請を認めており、これ以上は通常の配慮をしても勤務割を変更できなかったとして、時季変更権の行使を有効と判断。年休を付与すると公休日に出勤を命じられる人が出るなど、労使合意に反することも考慮した。……[続きを読む]

2023.07.06 【判決日:2022.10.14】
大器キャリアキャスティングほか1社事件(大阪高判令4・10・14) 同じ給油所で兼業、過重労働の会社責任なし? 長時間労働解消せず慰謝料
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 24時間営業の同じ給油所で深夜早朝のほか、休日も副業で働いた従業員が、適応障害を発症したなどして損害賠償を求めた。自ら希望して兼業した結果として請求を退けた一審に対し、大阪高裁は、同一店舗における兼業の就労状況を本業は比較的容易に把握でき、連続かつ長時間労働を解消せず安全配慮義務違反と認定。慰謝料の支払いを命じたが4割を過失相殺している……[続きを読む]

年月アーカイブ

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。