労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2020.07.23 【判決日:2019.11.28】
近畿大学事件(大阪地判令元・11・28) 任期規程上回る8年超雇用した助教を雇止め 更新の合理的期待は“消滅”
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 更新上限を4回までとする規程を上回り、約8年間雇用された助教が雇止めの効力を争った。最後の1年間はいわゆる「不更新条項」が付され、特例的に更新を希望する旨の要望書を提出していた。大阪地裁は、契約の反復更新により生じていた更新の合理的な期待は消滅したと判断。要望書の内容に異議を述べず提出するなど、更新されないことを十分理解していたとしてい……[続きを読む]

2020.07.16 【判決日:2019.11.29】
豊榮建設従業員事件(大津地裁彦根支判令元・11・29) 解雇撤回後も不就労、パワハラ原因でうつ病? 復職しないのは本人に責任
ジャンル:
  • 賃金
  • 賃金請求権

 解雇撤回後も復職できなかったのは、うつ病が原因で会社に責任があるとしてバックペイを求めた。解雇後に発症しパワハラがあったと労災認定されていた。裁判所は、解雇通知でショックを受けたとしても業務でうつ病をり患したことには大きな疑問があるとして、復職しないのは「自身の都合」によるものと賃金請求権を否定。会社が立て替えた社会保険料について、本人……[続きを読む]

2020.07.09 【判決日:2019.08.08】
京都市(児童相談所職員)事件(京都地判令元・8・8) 社外へ個人情報持ち出し廃棄、3日間の停職は 公益通報が目的で処分重い
ジャンル:
  • 処分の量刑
  • 懲戒・懲戒解雇

 児童相談所の職員が、児童の記録をコピーして自宅に持ち帰り破棄したことで、3日間の停職とされた処分は無効と訴えた。京都地裁は、相談を放置した児相の対応を問題視し公益通報窓口に相談しており、資料持ち出しは証拠保全や自己防衛という重要な目的を有していたと判断。資料の外部流出は認められず、過去の懲戒事例との比較や処分歴もないことから停職3日は重……[続きを読む]

2020.07.02 【判決日:2019.10.02】
東芝総合人材開発事件(東京高判令元・10・2) “単純作業”指示されパワハラと拒否したら解雇 業務の変更は懲罰といえず
ジャンル:
  • 業務命令違反
  • 解雇

 会社を批判するメールを顧客に送信し、反省文でも同じ批判を繰り返したことから解雇した事案。解雇無効を求めた元従業員は、従前と異なる単純作業を指示されたのはいじめなどと主張した。東京高裁は、対外的な折衝のある元の業務に戻せないとの判断はやむを得ず、懲罰目的とかパワハラとするには無理があると評価。2度の懲戒後も改善がみられないなど解雇有効とし……[続きを読む]

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