労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2021.02.25 【判決日:2020.07.02】
損害賠償請求事件(大阪地裁堺支判令2・7・2) 国籍を誹謗中傷する文書配布され違法と訴える “差別受けるおそれ”に賠償
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 損害賠償

 社内の配布文書で国籍を誹謗中傷されたとして、会社らに損害賠償を求めた。会社は教育の一環としていた。裁判所は、差別的取扱いを受けるのではないかとおそれを抱いて然るべきと判断、また文書の配布態様から人格的利益の侵害とした。文書の内容は著しい侮辱と感じられ名誉感情を害するもので、かつ、反復継続して大量に配布し、口頭で自由に意見することも困難だ……[続きを読む]

2021.02.18 【判決日:2020.05.22】
日の丸交通足立事件(東京地判令2・5・22) 69歳嘱託運転者が接触事故、すぐ申告せずクビ 更新は1回だが雇止め無効
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 自転車との接触事故を起こし、すぐに申告しなかった69歳のタクシー運転者を雇止めした事案。67歳定年で契約更新は1回などと会社は主張したが、東京地裁は、70歳以上も一定割合存在し、契約書等もないなど、体調や運転技術に問題が生じない限り、更新の合理的期待が認められると判断。事故につき警察は道交法違反とは扱わず、三十数年間の勤務態様も考慮する……[続きを読む]

2021.02.11 【判決日:2020.09.03】
賃金等請求控訴事件(東京高判令2・9・3) 劇団員の活動は労務提供、賃金命じた一審は? 公演出演も労働時間に該当
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  • 労働者
  • 労基法の基本原則

 劇団員の大道具作成などは労務の提供に当たるとして、一部賃金の支払いを命じた事案の控訴審。公演の出演を「任意」とした一審に対し、東京高裁は、出演の諾否の自由があったとはいえず、指揮命令下の業務であり労働時間とした。出演を断ることは考え難く、仮に断っても劇団の他の業務へ従事するためとしている。長時間労働を強いられたとの主張は斥けた。 “諾否……[続きを読む]

2021.02.04 【判決日:2020.02.19】
地方公務員災害補償基金事件(横浜地判令2・2・19) 町役場の職員がうつ病を公務外とされ取消請求 「認定基準」当てはめて棄却
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  • 労災
  • 業務上・外認定

 うつ病を発症してその後退職した町役場の職員(地方公務員)が、公務災害認定されず処分の取消しを求めた。横浜地裁は、災害補償基金の「認定基準」に沿うのが相当と判断。同基準で判断することで当事者から異議もなかった。業務自体は1年目で担当することがあるなど負荷は過重といえず、時間外勤務の時間数も基準におよそ達しないことなどから請求を棄却した。……[続きを読む]

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