労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2024.02.29 【判決日:2023.07.20】
国・中労委(CLC)事件(東京高判令5・7・20) 委託先変更で運営会社が組合員採用せず違法? 不当労働行為制の救済対象
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  • 労働組合

 学童保育の運営を新たに委託された会社が、それまで受託していた他社の指導員を採用しなかったことが、不当労働行為に当たるかを争った事案の控訴審。東京高裁は、不当労働行為の成立を肯定できる「特段の事情」があるとした。希望者は原則継続勤務される運用で、雇用の自由は制約されると指摘。組合員を嫌悪するなどの不当労働行為意思は認められず控訴は棄却した……[続きを読む]

2024.02.22 【判決日:2023.08.31】
社会福祉法人秀峰会事件(東京高判令5・8・31) 理学療法士を新部門へ配転、無効とした一審は 「著しく不利益」の判断覆す
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  • 配転・出向

 理学療法士が、リハビリ業務から事務部門への配転無効を求めた事案の控訴審。原審の業務上の必要性はなく、甘受すべき不利益の程度を著しく超えるとした判断を覆して、東京高裁は請求を棄却した。勤務態度が改善せず、労働力を適正に配置する目的から配転の必要性を肯定。技術劣化を考慮することは職種限定の合意があることと同様の結果となりかねず、相当でないと……[続きを読む]

2024.02.15 【判決日:2023.03.29】
栃木県事件(宇都宮地判令5・3・29) 双極性障害で傷病休暇中に出した退職願有効? 辞職承認した処分取り消す
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  • 休職
  • 傷病休職
  • 退職
  • 退職願

 双極性感情障害による傷病休暇中に提出した退職願は無効として、職員が辞職承認処分の取消しを求めた。宇都宮地裁は、休暇中の面談で部長らは休みが長期化する懸念に加え、復職の困難性と退職の選択肢を示唆し、職員はうつ状態の悪化も相まって適切な判断は困難だったと判示。職員は復職を希望していたが、熟慮できないまま退職願を提出し、「自由な意思」といえず……[続きを読む]

2024.02.08 【判決日:2022.04.20】
大成建設事件(東京地判令4・4・20) 留学費用の貸与で誓約書、退職者に返済求める 賠償予定や全額払に反せず
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  • 労働契約
  • 賠償予定

 海外研修から復職せず退職した元従業員に対し、会社が誓約書等に基づき貸与した費用の返済を求めた。東京地裁は、労基法の賠償予定の禁止や賃金の全額払いには反しないと判断。研修は本人の意思で受講し、内容は汎用性が高く、5年超働けば返済は免除されることから、貸与は雇用継続を強要するものではないとした。給与等との相殺について説明され、異議を述べず合……[続きを読む]

2024.02.01 【判決日:2023.02.22】
医療法人社団誠馨会事件(千葉地判令5・2・22) 研修医が病院外で夜間電話対応し割増賃金請求 待機中の労働時間性を否定
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  • 労働時間
  • 手待時間

 形成外科の研修医が、夜間の電話連絡等に対応するために病院外で待機していた時間について、割増賃金の支払いを求めた。千葉地裁は、待機中の生活状況は私生活上の自由時間の過ごし方と大きく異ならないとして、労働時間には当たらないとした。遠方に滞在できないという場所的な制約はあるが、電話対応や呼出出勤の回数・時間は、自由時間を阻害するものではないと……[続きを読む]

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