労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2021.07.21 【判決日:2020.08.21】
センバ流通(仮処分)事件(仙台地決令2・8・21) コロナでタクシーの売上減、有期契約中に解雇 雇調金を使わず解雇は無効
ジャンル:
  • 解雇

 新型コロナウイルスの影響で売上げが減ったタクシー会社の運転者が、有期契約の期間途中で解雇されたため、地位保全等を求めた。仙台地裁は、雇用調整助成金等の利用が可能にもかかわらず利用せず、解雇を無効とした。整理解雇の4要素を当てはめ、人員削減の必要性は倒産が必至であるほど緊急かつ高度とは認められず、人員選択の合理性、団交における説明も不十分……[続きを読む]

2021.07.15 【判決日:2020.02.27】
野村不動産アーバンネット事件(東京地判令2・2・27) 営業の歩合廃止して固定給増額、不利益変更か 賃金1割減でも合理性あり
ジャンル:
  • 就業規則の不利益変更
  • 賃金・賞与

 不動産売買等の手数料に連動する営業成績給の廃止は不利益変更で無効として、営業マンが支払いを求めた。会社は、賃金の総原資は減少させず月例賃金に振り分けるとしていた。東京地裁は、廃止から半年間の原告の賃金総額は1割以上減り不利益の程度は小さくないが、役割次第で増額し不利益は固定されないと判断。従業員の定着率を上げるため、安定的な給与制度とし……[続きを読む]

2021.07.08 【判決日:2020.12.01】
口外禁止条項事件(長崎地判令2・12・1) 労働審判の内容で精神的苦痛と国へ賠償求める “口外禁止”を盛り込み違法
ジャンル:
  • その他

 雇止めされたドライバーが労働審判の内容を口外しないよう命じられ、精神的苦痛を受けたとして、国に損害賠償を求めた。長崎地裁は、労働者は調停案に口外禁止条項を盛り込むことを明確に拒絶しており、同条項を受け容れる可能性はなく、内容の相当性を欠き違法と認定。労働者に過大な負担を強いるとした。国の責任に関しては、審判に違法または不当な目的はなかっ……[続きを読む]

2021.07.01 【判決日:2020.12.18】
ELCジャパン事件(東京地判令2・12・18) 退職勧奨拒否するたびに異動、違法無効と提訴 部署閉鎖され配転降格有効
ジャンル:
  • 配転・出向

 2度にわたり退職勧奨され、拒否するたびに降格や配置転換されたのは不当として従業員が訴えた。東京地裁は、海外本社の組織変更に伴い所属チームがなくなるなど配転には業務上の必要性があり、緩和措置として基本給も遜色ない額が支払われ不利益も大きくないと判断。職種限定合意は認められないとしたうえで、就業規則で配転に伴い職務等級の変更があり得ることも……[続きを読む]

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