労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2023.09.28 【判決日:2023.03.27】
広島県・県労委事件(広島地判令5・3・27) 組合員の解雇を不当労働行為とした労委命令は 反組合が決定的動機でない
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  • 労働組合

 労働組合の執行委員長らの解雇を不当労働行為とされた会社が、県労委の救済命令取消しを求めた行政訴訟。広島地裁は、通勤手当の不正受給や配転拒否を理由とした解雇には合理性、相当性が認められ、懲戒処分等は組合嫌悪が決定的な動機ではないと判断。不正受給に関し反省の態度を示さず、配転拒否にも合理的理由がないことや、弁明の機会を与えたことも考慮した。……[続きを読む]

2023.09.21 【判決日:2023.03.27】
東海旅客鉄道事件(東京地判令5・3・27) 鉄道乗務員の年休申請を業務上支障ありと拒否 時季変更権の行使に慰謝料
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  • 年休

 新幹線の乗務員が、年次有給休暇を申請したところ就労を命じられたため、時季変更権の行使は違法として慰謝料を請求した。東京地裁は、恒常的な人員不足の状態にあり、常時、代替要員を確保できない場合、時季変更権の行使は許されないと判断。年休予定日の5日前に勤務割を発表したが、行使に必要な合理的期間を超えていたなどとして、請求を一部認容した。 常時……[続きを読む]

2023.09.14 【判決日:2023.01.26】
住友生命保険(費用負担)事件(京都地判令5・1・26) 営業活動費の控除一部無効
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  • 支払い5原則
  • 賃金

 保険会社の営業職員が、資料の印刷代や顧客への物品代等を賃金から控除されたため、全額払いに反すると訴えた。京都地裁は、営業活動費の控除を一部無効とした。物品等の利用は義務付けられていなかったが、控除に明示的に異議を述べた時期以降について個別合意の成立を否定した。一律定額の負担が義務付けられた印刷代の控除に同意したとは認められないとしている……[続きを読む]

2023.09.07 【判決日:2023.07.20】
名古屋自動車学校事件(最一小判令5・7・20) 定年時の6割下回る賃金、最高裁はどう判断!? 正職員基本給と性質異なる ★
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  • 定年・再雇用
  • 退職

 再雇用された嘱託職員の基本給等が定年時を下回ったことが不合理か争われた事案で、最高裁は、定年時の6割を下回る部分を不合理とした原審を破棄。正職員の基本給は勤続給や職務給、職能給の性質も有する余地があるが、嘱託の基本給は正社員と異なる性質や支給目的を有するとした。原審は賃金に関する労使交渉の経緯も含めて考慮しておらず、審理のため差し戻した……[続きを読む]

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