労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2013.08.26 【判決日:2013.03.25】
大阪市事件(大阪地判平25・3・25) 拾った金品着服したと河川事務所の職員ら懲戒免職 更生の機会与えず妥当性欠く ★
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用

 河川の清掃中に拾った金品を着服し、懲戒免職処分となった大阪市の職員5人が、市に対して処分の取消しを求めた。大阪地裁は、着服は長年にわたる職場ぐるみの行為で、市の監督責任も踏まえて、更生の機会を与えずに懲戒免職としたのは社会通念上妥当ではないと判示。ごみのゴルフバックを持ち帰った所長が停職1カ月だったのと比較し、不均衡な処分としている。……[続きを読む]

2013.08.19 【判決日:2012.12.25】
第一興商(本訴)事件(東京地判平24・12・25) 休職期間過ぎて自動退職扱い、復職できると訴える 通常業務の労務提供は可能 ★
ジャンル:
  • 休職
  • 休職の終了・満了

 視覚障害を発症した営業マンに休職を命じ、期間満了時に復職不可と判断して自動退職扱いしたところ、障害は上司の暴言など業務上によるとして、地位確認などを求めた。東京地裁は、発症と業務の関係を否定する一方、主治医の復職可能との意見に対し会社は配属先がないなどの反証をせず、休職事由は消滅していたと判示。事務職での通常業務は可能で退職無効とした。……[続きを読む]

2013.08.12 【判決日:2013.06.06】
八千代交通事件(最一小判平25・6・6) 解雇無効判決受け復職、前年就労できず年休なし? 労働者に責任なく出勤扱い ★
ジャンル:
  • 年休

 解雇無効判決が確定したタクシー運転者が、復職後に年休を取得できず違法と訴えた事案の上告審。年休取得には前年の全労働日の8割以上の出勤が条件だが、国の通達は「使用者の責に帰すべき休業日は全労働日に含まない」としていた。最高裁は一、二審を踏襲し、無効な解雇などで会社が不当に就労を拒んだ日は出勤扱いすべきと判示。判決を受けて通達も改訂された。……[続きを読む]

2013.08.05 【判決日:2012.08.28】
ブランドダイアログ事件(東京地判平24・8・28) 能力不足と部長降格、直後に情報漏えい発覚し解雇 裁量権や懲戒権濫用で無効
ジャンル:
  • 懲戒・懲戒解雇
  • 懲戒権の濫用

 中途採用の部長を入社9カ月で期待外れとして降格した直後、顧客名簿の漏えいが発覚し懲戒解雇した事案で、各処分の有効性を争った。東京地裁は、降格は人事権の行使といえどもそれに値するような非違行為はないうえ手当の減額幅も大きく、一方、漏えいは営業促進が目的で実害もないと認め、裁量権および懲戒権濫用で無効と判示。なお、会社への損害賠償請求は棄却……[続きを読む]

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