ブランドダイアログ事件(東京地判平24・8・28) 能力不足と部長降格、直後に情報漏えい発覚し解雇 裁量権や懲戒権濫用で無効

2013.08.05 【判決日:2012.08.28】
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 中途採用の部長を入社9カ月で期待外れとして降格した直後、顧客名簿の漏えいが発覚し懲戒解雇した事案で、各処分の有効性を争った。東京地裁は、降格は人事権の行使といえどもそれに値するような非違行為はないうえ手当の減額幅も大きく、一方、漏えいは営業促進が目的で実害もないと認め、裁量権および懲戒権濫用で無効と判示。なお、会社への損害賠償請求は棄却した。

被る不利益大きい 流出の実害もなく

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは平成21年7月21日、インターネットによる情報サービスなどを業とするY社に基本給月額48万円で部長職として入社した。

 Y社は同22年3月30日、Xに対し「現在の役職および給与額は採用前の見込み能力に基づいたものだが、マネジメント力、社内調整力・協調性能力、社外との折衝力で、他の社員より格別に優れているとは判断できず、採用前の見込み能力と入社後9カ月間の活動経歴に基づく評価に差異があり、部長職としては不適格」と記載した降格・降給通知書を交付して、同年4月1日付けで部長職からの降格と部長職手当月額5万円削減の降給を行った。

 Y社は4月8日、Xが同21年12月18日と同月24日に、A社の代表取締役であるBに対し約4200件のY社の顧客リストをメール送信したとの事由で、就業規則に基づきXを懲戒解雇した。

 Xは降格・降給処分、懲戒解雇処分がいずれも無効だとして、Y社の部長の地位にあり、降給処分前の給料の支払いを受ける地位にあることの確認、解雇による精神的損害として慰藉料300万円の支払いを求めて提訴した。

判決のポイント

 一般に、降格処分のうちでも、使用者が労働者の職位や役職を引き下げることは、人事権の行使として、…

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平成25年8月5日第2931号14面 掲載

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