労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2013.07.22 【判決日:2012.10.18】
慶應義塾(シックハウス)事件(東京高判平24・10・18) 体調不良で退職後に職場のシックハウス原因と提訴 安全配慮義務違反で賠償を
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  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 新校舎建設までの仮設棟の勤務でシックハウス症を発症し退職を余儀なくされたとして、元職員が大学に対し損害賠償などを求めた訴訟の控訴審。東京高裁は、職員8人のうち7人が同様の診断を受けるなど仮設棟の化学物質で発症と推認。通行や出入りの場所に発症を招く濃度、量の化学物質が存在しないようにする配慮を怠り、安全配慮義務違反で慰謝料支払いを命じた。……[続きを読む]

2013.07.15 【判決日:2012.03.26】
日本ベリサイン事件(東京高判平24・3・26) 役員報酬の不正引上げ見過ごした監査室長の解雇は 信頼関係を毀損し雇用困難
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  • 解雇
  • 解雇権の濫用

 年俸1200万円で中途採用された内部監査室長が、取締役会の決議を経ない役員報酬の引上げを見過ごすなど、会社との信頼関係の喪失を理由に解雇された事案。一審は解雇無効としたが、東京高裁は部下との人間関係を悪化させ職務を完遂できないなど、信頼関係の毀損により室長としての雇用継続だけでなく相応の役職の幹部職員とすることも困難とし、解雇を認容。……[続きを読む]

2013.07.08 【判決日:2012.12.26】
三晃印刷事件(東京高裁判平24・12・26) 職能資格導入時の激変緩和目的の調整手当を打切り 削減分は昇給やベア原資に
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  • 就業規則の不利益変更
  • 賃金・賞与

 職能資格の導入に伴う賃金減額や激変緩和目的の調整手当の削減が、就業規則の不利益変更に当たるかを争った事案の控訴審。東京高裁は、売上減から業務遂行の意欲を高める必要性があったこと、手当を6年間継続支給したうえ3段階に分けて削減し、削減分は昇給やベア原資に充て賃金原資総額の減少を解消するなど、就業規則変更は高度の必要性に基づく合理的内容と評……[続きを読む]

2013.07.01 【判決日:2012.09.28】
NTT東日本事件(東京高判平24・9・28) 強制わいせつで有罪、退職金55%減額とした一審は 「勤続の功」7割減殺が相当
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  • 賃金
  • 退職金

 女子高校生への強制わいせつで有罪判決を受け合意退職した者に対し、懲戒解雇相当で退職金を不支給とした事案の控訴審。一審は22年の勤続の功は抹消できず45%の支払いを命じたが、東京高裁は原審を概ね踏襲しつつ、会社の名誉や信用は失墜し、示談が成立したことや過去に懲戒処分を受けたことがないなど、従業員に有利な事情を斟酌しても7割減額が相当とした……[続きを読む]

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