インターネットサファリ事件(東京地判平17・12・9) 在籍中の残業代請求に“みなし制”を主張したが 事業場外労働に当たらない
2006.04.17
【判決日:2005.12.09】
退職従業員が在籍中の残業代と親睦会の天引き給与などの支払いを求めたもので、会社は事業場外労働のみなし制と主張したが、東京地裁は内勤業務主体で労働時間の把握・算定が困難な状況ではなく事業場外労働には当たらないとし、親睦会費の賃金控除協定は締結者が従業員代表者要件を充足していないとして、いずれも支払いを命じた。
実質的に内勤中心 時間の算定は可能
筆者:弁護士 岩本 充史
事案の概要
本件は、Y会社を退職したXが在職中の残業代と不当に賃金から控除された親睦会費用の支払いを請求したのに対し、Y会社は、Xには事業場外労働によるみなし労働時間制が適用されること、控除についてはXの同意があったなどずれも支払い義務を否定した事案である。
Y会社はコンピューターソフトウェアの設計、開発のほか労働者派遣事業を行っており、Xは東京支店営業部に勤務(後に名古屋営業所に転勤)し、①職安からの求職者の面接、派遣スタッフの経歴書の作成、②派遣スタッフの登録、面接の段取りと練習、派遣先企業へ仲介を行う協力会社への引渡し、派遣手続、③新規の顧客(協力会社)の開拓などの業務に従事した。
Y会社との雇用契約では勤務時間は9時から21時までで、Xが外出するときは外出先、帰社時間を告げ、東京本社事務所内のホワイトボードにも明記され、帰社時間が遅くなるとY会社社長のBからXの携帯電話に電話がかかってくることもあった。…
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平成18年4月17日第2581号14面 掲載