定年後も同一職務、非正規の格差で最高裁判決 賃金引下げ不合理といえず 長澤運輸事件(最二小判平30・6・1)

2018.06.28 【判決日:2018.06.01】

 定年後の嘱託再雇用により賃金全体を2割引き下げたことが、労契法の不合理な労働条件に当たるか争った事案で、最高裁は、職務などは同一としたうえで、定年後の再雇用を「その他の事情」として考慮。関連する賃金項目の趣旨に照らし、精勤手当など2つの手当を除き相違を違法でないとした。年金の開始まで調整給を支給するなど賃金制度上、配慮・工夫したと評価した。

手当の趣旨で比較 調整給支給を評価

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 本件は、Yの正社員として稼働し、定年退職後に有期の嘱託社員として再雇用されたXらが、定年の前後で職務の内容等に変わりがないにもかかわらず、正社員と嘱託社員との間に労働契約法20条に違反する労働条件の相違があると主張して、主位的に正社員の就業規則が適用される地位にあることの確認、労働契約に基づく差額賃金等の支払いを求め、予備的に不法行為に基づき上記差額に相当する額の損害賠償金等の支払いを求めた事案である。

二審・最高裁判決の要旨
 原審(東京高判平28・11・2、本紙3100号)は、主位的請求については、①定年後再雇用も労契法20条が適用されること、②嘱託と正社員の賃金の差が、不合理とは認められないこと、予備的請求については、同条や公序良俗に反しないとして、棄却した。これに対して、Xらが上告をしたが、本判決は、原判決中、Xらの精勤手当および超勤手当に係る予備的請求に関する部分を破棄し、精勤手当に係る予備的請求を認容し、超勤手当に係る予備的請求は原審に差し戻し、その余は棄却した。

判決のポイント

 労契法20条の趣旨

 同条は、…

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掲載 : 労働新聞 平成30年7月2日第3167号14面

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