子会社工場でセクハラ、メーカーへ賠償求める 「信義則」上の義務を認めず イビデン元従業員ほか事件(最一小判平30・2・15)

2018.04.05 【判決日:2018.02.15】

 子会社の女性からセクハラの相談を受けた親会社の責任が争われた訴訟の上告審で、最高裁は「相談時の状況」により信義則上の義務に基づく損害賠償責任を負うと判断。親会社にグループ会社対象の相談窓口があり、相応の対応が想定されていたものの、相談内容は女性が退職後の行為で加害者の職務に関係はなく、行為から8カ月以上経過しており責任は及ばないとした。

退職後に被害行為 状況次第で責任も

筆者:弁護士 中町 誠(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、上告人(イビデン㈱)の子会社の契約社員として上告人の事業場内で就労していた被上告人が、同じ事業場内で就労していた他の子会社の従業員Aから、繰り返し交際を要求され、自宅に押し掛けられるなどしたことにつき、上告人に対し、債務不履行または不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案である。国内外の法令、定款、社内規程および企業倫理の遵守に関する社員行動基準を定め、自社および子会社等から成る企業集団の業務の適正等を確保するための体制を整備していた上告人において、被上告人は、相応の措置を講ずるなどの信義則上の義務に違反したと主張した。

判決のポイント

 1、被上告人は、勤務先会社に雇用され、本件工場における業務に従事するに当たり、勤務先会社の指揮監督の下で労務を提供していたというのであり、上告人は、本件当時、法令等の遵守に関する社員行動基準を定め、本件法令遵守体制を整備していたものの、被上告人に対しその指揮監督権を行使する立場にあったとか、被上告人から実質的に労務の提供を受ける関係にあったとみるべき事情はないというべきである。また、上告人において整備した本件法令遵守体制の仕組みの具体的内容が、勤務先会社が使用者として負うべき雇用契約上の付随義務を上告人自らが履行し又は上告人の直接間接の指揮監督の下で勤務先会社に履行させるものであったとみるべき事情はうかがわれない。…

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掲載 : 労働新聞 平成30年4月9日第3156号14面

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