売上高から残業代カットする歩合給算定の仕組みは 「割増控除」無効とはいえず 国際自動車事件(最三小判平29・2・28)

2017.04.17 【判決日:2017.02.28】

 タクシー乗務員が、売上高から残業代をカットされ法定の割増賃金が支払われてないとして争った。一審、二審が通常の労働時間の賃金に対して割増を義務付ける法の趣旨を潜脱するとしたのに対し、最高裁は、労基則19条の計算を下回らなければ足り、「通常の賃金」をどう定めるか法に規定はなく、控除自体無効ではないとした。割増部分判別のため差し戻した。

通常賃金と区別を 法定以上か差戻す

筆者:中町 誠 弁護士(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は、上告人に雇用され、タクシー乗務員として勤務していた被上告人らが、歩合給の計算に当たり残業手当等に相当する金額を控除する旨を定める上告人の賃金規則上の定めが無効であり、上告人は、控除された残業手当等に相当する金額の賃金の支払義務を負うと主張して、上告人に対し、未払賃金等の支払を求めた事案である。

 問題の歩合給の規定は、対象額A-{割増金(深夜手当、残業手当および公出手当の合計)+交通費}となっている。対象額Aは、(所定内揚高〈売上高〉-所定内基礎控除額)×0.53+(公出揚高-公出基礎控除額)×0.62で算出される(公出とは所定乗務日数を超える出勤)。原審(東京高判平27・7・16)は、本件規定のうち、歩合給の計算に当たり対象額Aから割増金相当額を控除する部分は無効であり割増金相当額を控除することなく歩合給を計算すべきとした。

判決のポイント

 1、労働基準法37条は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまり、使用者に対し、労働契約における割増賃金の定めを労働基準法37条等に定められた算定方法と同一のものとし、これに基づいて割増賃金を支払うことを義務付けるものとは解されない。

 そして、使用者が、労働者に対し、…

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掲載 : 労働新聞 平成29年4月17日第3109号14面

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