させぼバス事件(福岡高判令5・3・9) 路線バスの停留所待機、休憩でないと割増請求 場所ごとに労働時間か判断
路線バスの乗務員が、始発や終点のバス停で待機する時間は労働時間として割増賃金等の支払いを求めた事案の控訴審。継続して10分以上業務を離れることができる時間について、会社は休憩時間としていた。福岡高裁は一審と同様に、待機場所ごとに労働時間性を判断。乗客対応や車両移動の必要性があり、実態を踏まえ労働から解放されていない時間は労働時間として控訴を退けた。
乗客対応など必要 解放が保障されず
弁護士:岩本 充史
事案の概要
バス乗務員としてYに雇用されていたXらが、Yに対し、平成27年8月から平成29年8月までの期間の折り返し待機場所等での待機時間のうちYが休憩時間として取り扱っていた時間等が労働時間であり、時間外割増賃金の一部が未払いであると主張して、未払割増賃金等の支払いを求めた。一審(長崎地裁佐世保支判令4・3・23)はXらの請求を一部認容し、Xらが控訴し、Yは附帯控訴したが、本判決はいずれも棄却した。
本件の争点は、①特殊勤務手当等が割増賃金の算定基礎賃金に含まれるか、②Yが休憩時間と取り扱っていた折り返し待機場所での待機時間が労働時間といえるのか等だが、②について紹介する。
判決のポイント
(1)労働時間性の判断基準
労基法上の労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、実作業に従事していない時間(以下「不活動時間」)が労働時間に該当するか…は、労働者が不活動時間において使用者の指揮命令下に置かれていたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる…。そして、…
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