歓送迎会後に業務再開、帰社途中の事故死は労災? 参加任意でなく会社支配下 行橋労基署長事件(最二小判平28・7・8)

2017.02.20 【判決日:2016.07.08】

 歓送迎会後、業務のため会社に戻る際の交通事故を労災不支給とされた事案。私的な会合で、参加した研修生の送迎も任意として業務上の事由には当たらないとした原審に対し、最高裁は、研修における行事の一環で会社間の関係強化に寄与し、事業活動に密接に関連と判断。上司の強い意向で参加し、送迎は社有車で行われ経路の逸脱もないなど会社支配下にあったとした。

上司から強い意向 研修行事の一環で

筆者:弁護士 渡部 邦昭(経営法曹会議)

事案の概要

 B社から同社の100%子会社のA社に出向していた甲(被災者)が、交通事故により死亡したのは業務上の死亡であるとして、甲の妻が処分庁(行橋労働基準監督署長)に対し、労災法に基づく遺族補償給付および葬祭料の請求をしたが不支給処分を受けたため、甲の妻が同処分の取消しを求めて本訴を提起した。

 交通事故があった平成22年12月7日午後6時30分から9時過ぎまでの間、居酒屋でA社の社員と中国人研修生の親睦を深めるための歓送迎会が開催された。甲は、当日A社E部長から「(研修生は)今日で最後」などとして出席を打診された際、「資料を作成しなくてはならないので、参加できない」旨回答していたが、8時頃、A社の作業着を着たままA社所有の乗用車を運転して居酒屋に来店し、歓送迎会に出席し(アルコール飲料は飲まなかった)、9時過ぎ、E部長が送る予定であった研修生5人を乗せて(送っていく指示は受けていなかった)、車両(定員5人)を運転して出発した。9時15分頃、甲は走行中、対向車線に進入し、大型貨物自動車と衝突し、頭部外傷で死亡した。

 一審(東京地判平26・4・14)は、以下のように述べて甲の妻の請求を斥けた。…

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掲載 : 労働新聞 平成29年2月20日第3101号14面

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