丸子警報器事件(長野地上田支判平8・3・15) 正社員とパート間の賃金格差違法か 公式良俗違反のケースも

1996.05.27 【判決日:1996.03.15】
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労働内容が同一なら8割以下は問題

筆者:弁護士 中山 慈夫(経営法曹会議)

事案の概要

 本件は自動車用警報器メーカーの女性臨時社員28名が、正社員と比べ不当な賃金差別を受けているとして、会社に対し不法行為に基づき総額約1億4700万円の損害賠償を請求した事案である。裁判所は同一労働同一賃金の原則の理念に基づき、女性臨時社員の賃金が同一職場での女性正社員の賃金の8割以下となれば、その賃金格差は違法であるとして、会社に総額約1450万円の支払いを命じた。

判決のポイント

 1、同一(価値)労働同一賃金の原則の基礎にある均等待遇の理念は、賃金格差の遅法性判断において、ひとつの重要な判断要素として考慮されるべきものであっで、その理念に反する賃金格差は、使用者に許された裁量の範囲を逸脱したものとして、公序良俗違反の違法を招来する場合がある。

 2、原告ら女性臨時社員と、同じライン作業に従事する女性正社員の業務とを比べると、従事する職種、作業の内容、勤務時間及び日数などすべてが同様であること、女性臨時社員の勤務年数も長い者では25年を超えており、長年働き続けるつもりで勤務しているという点でも女性正社員と何ら変わりがないこと、「女性臨時社員の採用の際にも、その後の契約更新においても、少なくとも採用される原告らの側においては自己の身分について明確な認識を持ち難い状況であったことなどにかんがみれば、原告ら臨時社員の提供する労働内容は、その外形面においても、会社への帰属意識という内面においても、会社の女性正社員と全く同一であると言える。従って、正社員の賃金が年功序列によって上昇するのであれば、臨時社員においても正社員と同様ないしこれに準じた年功序列的な賃金の上昇を期待し、勤務年数を重ねるに従ってその期待からの不満を増大させるのも無理からぬところである。

 このような場合、…

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平成8年5月27日第2106号10面 掲載

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