労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2017.06.28 【判決日:2016.09.29】
札幌市・市教委事件(札幌高判平28・9・29) うつ理由に無断欠勤繰り返し解雇やむなしの一審は 精神疾患の配慮指導尽くす
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  • 病気
  • 解雇

 1年3カ月で23回の無断欠勤を理由に中学校教諭を懲戒免職した事案。処分有効とした一審に対し二審も、7年にわたりうつ状態による休職と復職を繰り返していた中での欠勤で、市は、主治医や親から病状や生活状況の把握に努め、授業以外の業務軽減など可能な限り配慮や指導をしたと評価。過去に別の無断欠勤で停職処分を受けたことも考慮して処分を適法とした。……[続きを読む]

2017.06.21 【判決日:2016.08.09】
国際自動車(再雇用更新拒絶)事件(東京地決平28・8・9) 低い売上げや事故理由に高齢ドライバーの更新拒否 “報復的な雇止め”で無効に
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  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 営業成績や事故を理由に契約更新されなかった65歳以上の元運転手2人が、地位確認等を求めた。東京地裁は、団交での代表者の発言から雇止めの理由は、残業代請求訴訟を提起した点にあると推認。更新回数は7回に上り上限年齢もないなど更新期待が認められ、雇止めの合理的理由も欠くとした。労組から労働者供給されていたが労契法の規制を潜脱するとしている。……[続きを読む]

2017.06.14 【判決日:2017.03.28】
エイボン・プロダクツ事件(東京地判平29・3・28) 工場分社化して転籍命じる、本人同意あり問題は? 承継法の個別協議なく無効 ★
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  • 労働契約
  • 承継

 工場分社化に伴う転籍後、会社解散で解雇された事案。労働契約の承継手続きに不備があったとして、元従業員が地位確認等を求めた。会社は同意書面があると主張したが、東京地裁は承継法の個別協議を実施したとはいえないと判断。本人希望を聴取のうえ協議すべきで、プロセスが重要としている。リストラ対象と告げ、労組脱退を条件に承継を迫った言動を問題視した。……[続きを読む]

2017.06.07 【判決日:2016.09.29】
福星堂事件(神戸地裁姫路支判平28・9・29) 早朝にタイムカードを打刻、未払賃金400万円求める 「過大な割増請求」で5割減
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  • 割増賃金
  • 労働時間
  • 始業終業時刻
  • 賃金

 タイムカードに基づき、朝4時台の早出残業など約400万円の割増賃金を求めた。神戸地裁姫路支部は、始業前の就業について指揮命令下にあることの主張立証が必要としたうえで、会社は日報の提出を求めたが拒否されるなど残業を黙認していたとはいえないと判断。時間外労働の事実は否定できないが、請求額は相当に過大とした。請求額の5割と、一部付加金も認めた……[続きを読む]

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