労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2017.02.27 【判決日:2016.12.01】
福原学園事件(最一小判平28・12・1) 有期契約3年を「試用」とし無期移行認めた原審は? 更新上限後の継続期待なし ★
ジャンル:
  • 更新拒否(雇止め)
  • 解雇

 3年の更新上限を定めて雇われた短大講師が、1年で雇止めされ地位確認を争った。高裁は、3年までの更新期待を認め、さらに試用期間として満了後の無期契約移行を認めたが、最高裁は、当然に移行すると解すべき事情はないと判断。教員は雇用の流動性があり、過去の実績から転換時には勤務成績も考慮していたとし、更新上限までの2年分の賃金支払いを認めた。 成……[続きを読む]

2017.02.20 【判決日:2016.07.08】
行橋労基署長事件(最二小判平28・7・8) 歓送迎会後に業務再開、帰社途中の事故死は労災? 参加任意でなく会社支配下 ★
ジャンル:
  • 労災
  • 業務上・外認定

 歓送迎会後、業務のため会社に戻る際の交通事故を労災不支給とされた事案。私的な会合で、参加した研修生の送迎も任意として業務上の事由には当たらないとした原審に対し、最高裁は、研修における行事の一環で会社間の関係強化に寄与し、事業活動に密接に関連と判断。上司の強い意向で参加し、送迎は社有車で行われ経路の逸脱もないなど会社支配下にあったとした。……[続きを読む]

2017.02.13 【判決日:2016.11.02】
長澤運輸事件(東京高判平28・11・2) 定年後も同一職務、賃金2割強減り不合理の一審は 継続雇用時の減額広く容認 ★
ジャンル:
  • 労基法の基本原則
  • 同一労働同一賃金

 定年後継続雇用したドライバーの賃金を2割強引き下げたことが、期間の定めによるもので不合理とされた事案の控訴審。東京高裁は、職務内容やその変更の範囲等が同一でも、継続雇用時の賃金引下げは広く行われ社会的に容認されており、労契法20条のその他の事情に基づき不合理ではないとした。年金の未支給期間に調整給を払うなど賃金差を縮める努力も考慮した。……[続きを読む]

2017.02.06 【判決日:2016.07.07】
コンチネンタル・オートモーティブ事件(東京高決平28・7・7) 解雇され生活困窮のおそれ、賃金仮払い申し立てる 仮処分の必要性認められず
ジャンル:
  • 解雇
  • 解雇権の濫用
  • 賃金
  • 賃金請求権

 普通解雇され、無効の判決を待っていては経済上窮状に陥るとして、賃金仮払いなどを求めたが却下されたため即時抗告した。東京高裁は解雇権濫用ではないとしたうえで、配偶者に収入があり訴訟提起が困難なほど急迫した危険が差し迫った状態とはいえないと判断。預金額が減少したと主張したが、解雇から2年以上経過しこの間訴訟提起が可能として抗告を棄却した。……[続きを読む]

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