労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2016.03.28 【判決日:2015.04.22】
七十七銀行(女川支店)事件(仙台高判平27・4・22) 震災の津波で死亡、安全配慮義務違反なしの一審は 入手可能な情報では予見困難
ジャンル:
  • 労働契約上の権利義務
  • 安全配慮義務

 震災の津波で亡くなった従業員の遺族が、会社に安全配慮義務に基づき損害賠償を求めたが棄却されたため控訴。仙台高裁は、災害規程の避難場所に屋上を追加したことは、臨機応変に場所を選べる観点から合理性があり、津波到達予定時刻までの情報からは屋上を超える危険性は予見できず、避難場所を変更しなかったことも移動中被災する危険性があり義務違反はないとし……[続きを読む]

2016.03.21 【判決日:2015.04.16】
海空運健康保険組合事件(東京高判平27・4・16) 課長から降格後もミス続き解雇、懲戒歴なく無効? 改善の見込みなく雇用困難
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  • 職務能力
  • 解雇

 能力不足で降格降級後もミスを繰り返した元課長に、健保組合が精神科医の受診を勧め医師の報告後まもなく解雇した。懲戒歴はなく手続きも拙速として地位確認請求を認めた一審に対し、東京高裁は、指導を繰り返し、配置換えも行うなど雇用継続の努力を尽くしたが、必要な資質能力を欠き改善も見込めず雇用困難とした。医師の報告を鵜呑みにした解雇との主張を斥けた……[続きを読む]

2016.03.14 【判決日:2015.09.18】
落合事件(東京地判平27・9・18) 外回り営業マンが割増請求、事業場外労働の判断は 時間把握できみなし認めず
ジャンル:
  • 労働時間
  • 事業場外労働

 事業場外みなし制で働いた外回り営業マンが、出退勤時刻の把握は可能などとして退職後に割増賃金等を求めた。一審は請求を一部認容し、双方が控訴した。東京地裁は、直行直帰が許されていないこと、事前の営業予定表や事後の日報で訪問先など業務内容を把握できることから指揮命令を及ぼすことは可能で、労働時間を算定し難いとはいえずみなし制の適用はないとした……[続きを読む]

2016.03.07 【判決日:2015.07.29】
日本電気事件(東京地判平27・7・29) アスペルガー症で休職、期間満了の退職無効求める 復職できる精神状態にない
ジャンル:
  • 休職
  • 休職の終了・満了

 アスペルガー症候群の休職期間満了で退職扱いされたため地位確認等を求めた。東京地裁は、従前の予算管理業務は主治医が就労可能とした対人交渉の少ない部署だが、満了前の試験出社時に上司の指導を受け入れないなど不穏な行動があり就労に支障がある精神状態と判断。本人希望のソフトウェア開発業務は対人交渉が必要で、配置の現実的可能性がある業務は認められな……[続きを読む]

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