課長から降格後もミス続き解雇、懲戒歴なく無効? 改善の見込みなく雇用困難 海空運健康保険組合事件(東京高判平27・4・16)

2016.03.21 【判決日:2015.04.16】

 能力不足で降格降級後もミスを繰り返した元課長に、健保組合が精神科医の受診を勧め医師の報告後まもなく解雇した。懲戒歴はなく手続きも拙速として地位確認請求を認めた一審に対し、東京高裁は、指導を繰り返し、配置換えも行うなど雇用継続の努力を尽くしたが、必要な資質能力を欠き改善も見込めず雇用困難とした。医師の報告を鵜呑みにした解雇との主張を斥けた。

指導繰り返したが 配転など努力尽くす

筆者:弁護士 岡芹 健夫(経営法曹会議)

事案の概要

 本事件は、Y健保を解雇されたXが、当該解雇を無効と主張し、労働契約上の地位の確認と解雇後の賃金相当額の支払い(および遅延利息)を求めて提訴した事件の控訴審である。

 Y健保は、海空事業者を対象とする健康保険組合である。職員数は事務長も含め常時15人程度であった。

 平成5年4月、XはY健保と期間を定めない労働契約を締結した。平成16年4月、XはA課の課長に就いたが、他課の業務支援を部下に命じたことやシステム開発の仕様のあり方をめぐって部下である課員と対立した。そこで、Y健保は、Xとの面談結果を踏まえて異動が必要であり、Xも希望しているとして、平成17年5月、XをBグループ・審査担当に異動させ、レセプト業務、海外療養費の決定等を主な業務とし、課長職から一般課員扱いにした。

 Xは、平成16年度までは格別問題はなかったが、Bグループへ異動後は、業務に過誤や支障を生じさせるようになり、その後もなくならず、たとえばレセプトを誤って廃棄処分したことがあった。

 平成20年、Xは傷病手当金等の現金給付決定等を中心とする業務に担当が変更されたが、事務処理の不安定性、不確実性はなくならず、平成22年には被保険者からの問合わせに対して的を射た回答ができずにクレームを受けたことがあったため、レセプト給付金決定および柔道整復師への支払決定業務に担当替えになったものの、過誤、業務遅滞がみられた。平成23年にC課に異動後も過誤が多く、…

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掲載 : 労働新聞 平成28年3月21日 第3057号14面

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