労働判例

 経営法曹会議に所属する気鋭の弁護士が、職場に役立つ最新労働判例を分かりやすく解説。事件の事実関係、判決のポイント、会社側が留意すべき事項を指摘し、労使トラブルへの対応や人事労務管理への応用を紹介します。

 1992年からの記事を掲載しており、ジャンルやキーワードによる検索も可能です。タイトル末尾に「★」マークがあるものは、判決文のリンクを掲載しています。

2015.07.27 【判決日:2014.09.25】
ヴイテックプロダクト事件(名古屋高判平26・9・25) 従前の勤務態度が悪いと休職者の復職要求拒みクビ 労組との合意に反して無効
ジャンル:
  • 休職
  • 傷病休職
  • 勤務成績不良
  • 解雇

 勤務態度を理由とした退職勧奨を拒否後、うつ病休職していた者が、復職を求めたが態度に改善がみられないとして解雇された事案。名古屋高裁は、医師の就労可能の診断書があれば無条件で復職を認めるとする会社とユニオンとの覚書に反するほか、譴責や減給、出勤停止など段階的処分もなく解雇は社会的相当性を欠くとした。会社主張の経営危機を裏付ける証拠もない。……[続きを読む]

2015.07.20 【判決日:2014.10.20】
国・池袋労基署長(日本通運)事件(東京地判平26・10・20) 職場で刺されうつ状態、8年治療し休業補償打ち切り 医療効果期待できない状態
ジャンル:
  • 労災

 解雇された元従業員にナイフで刺されたことでうつ状態となり、休業補償給付を受給していたが、約8年後に不支給とされたため処分取消しを求めた。東京地裁は、治療後2年以内に9割以上が治癒となるとした報告があるとしたうえで、薬剤や量は変わらないなど医療効果を期待できない状態と判断。被害状況を考慮しても、治癒に至るのに十分な期間が経過したとした。……[続きを読む]

2015.07.13 【判決日:2015.01.16】
リバース東京事件(東京地判平27・1・16) 温浴設備のセラピスト、委託解除され解雇と訴える 使用従属性がなく請求棄却
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  • 労働者
  • 労基法の基本原則

 温浴施設でマッサージ等を行うセラピストが、業務委託契約の解除は解雇に当たり無効として提訴。東京地裁は、指名以外の施術は行わない等要望すれば担当を拒否できること、完全出来高で労務対償性はないことなどから使用従属性はなく労働者性を否定した。契約書になかった受付業務に従事させたことについて、施術に付随する業務として未払報酬の請求も棄却した。……[続きを読む]

2015.07.06 【判決日:2014.09.11】
学校法人同志社事件(大阪高判平26・9・11) 65歳から“定年延長”、1年で退職扱いされ地位確認 解雇権法理の類推適用なし
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  • 定年・再雇用
  • 退職

 65歳定年としながら70歳まで1年ごとに定年を延長していた大学で、大学院教授が2回目の延長がなされず退職扱いとなり提訴。大阪高裁は、延長につき教授会で審議され労使慣行は認められず、適格性を欠くとして請求を退けた一審を踏襲したうえで、退職は定年に達したもので解雇権濫用法理を類推適用できないとした。延長の判断に裁量権の逸脱濫用もなかった。……[続きを読む]

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