国・池袋労基署長(日本通運)事件(東京地判平26・10・20) 職場で刺されうつ状態、8年治療し休業補償打ち切り 医療効果期待できない状態

2015.07.20 【判決日:2014.10.20】
  • list
  • クリップしました

    クリップを外しました

    これ以上クリップできません

    クリップ数が上限数の100に達しているため、クリップできませんでした。クリップ数を減らしてから再度クリップ願います。

    マイクリップ一覧へ

    申し訳ございません

    クリップの操作を受け付けることができませんでした。しばらく時間をおいてから再度お試し願います。

 解雇された元従業員にナイフで刺されたことでうつ状態となり、休業補償給付を受給していたが、約8年後に不支給とされたため処分取消しを求めた。東京地裁は、治療後2年以内に9割以上が治癒となるとした報告があるとしたうえで、薬剤や量は変わらないなど医療効果を期待できない状態と判断。被害状況を考慮しても、治癒に至るのに十分な期間が経過したとした。

薬剤や量変わらず 治癒の目安は2年

筆者:弁護士 岩本 充史

事案の概要

 Xは、Z株式会社の営業所次長であったところ、平成13年3月28日、Zを解雇された元従業員から、ナイフで右前頸部を突き刺される被害に遭い、後に受診した心療内科において、「うつ状態、心的外傷後ストレス障害」と診断された(上記受傷被害を以下、「本件災害」)。Xは、処分行政庁(被告)に対し、労災保険法に基づき、精神障害に係る休業補償給付の支給を請求し、平成15年7月8日以降、休業補償給付の支給を受けていた。

 本件は、Xが、処分行政庁に対し、平成23年4月16日から同年7月15日までの期間に係る休業補償給付の支給を請求したところ、処分行政庁が、Xの精神障害は同年4月30日に治癒(症状固定)したとして、上記請求のうち、同年5月1日以降の期間に係る休業補償給付をしない旨の処分をしたことから、その処分の取消しを求めた事案である。

 本判決は、Xの請求を棄却した。

判決のポイント

 (1)労災保険法にいう「治癒」の意義

この記事の全文は、労働新聞の定期購読者様のみご覧いただけます。
▶定期購読のご案内はこちら

労働新聞電子版へログイン

労働新聞電子版は労働新聞購読者専用のサービスです。

詳しくは労働新聞・安全スタッフ電子版のご案内をご覧ください。

ジャンル:
平成27年7月20日第3025号14面 掲載

あわせて読みたい

ページトップ
 

ご利用いただけない機能です


ご利用いただけません。