住建事件(長野地松本支判平8・3・29) 取締役不再任後の従業員としての地位は 就任後も労働契約が継続

1997.05.05 【判決日:1996.03.29】
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使用者の指揮命令 支配監督下と判断

筆者:弁護士 山田 靖典(経営法曹会議)

事案の概要

 Xは、昭和50年にY社に中途入社し、O支店勤務後、同支店長に就任。平成3年7月29日のY社株主総会で、O支店長のまま取締役に選任された。

 平成4年4月8日以降、O支店の営業成績が従前よりかなり落ち込んだことから、Y社M専務は、XをO支店長からY社本社勤務とする旨命じた。Y社M専務は、同年7月26日、Xに対し、同月30日にXの取締役の任期が満了するが、取締役として再任されない旨を伝え、課長等としてY社に勤務することを促した。これに対し、Xは、取締役としての留任を強く希望したが、同年7月30日のY社株主総会において取締役に再任されなかった。ただ、Xは、翌31日、同年8月2日、従前どおりY社本社に出勤した。

 翌3日、Xは、Y社M専務より辞めてもらうと告げられ、退職金の明細書二通を交付された。そして、Y社はXに対し、Xが取締役に就任した時点でY社の従業員の地位を失ったなどの内容の書面を送付した。

 Xは、Y社の扱いを不服とし、裁判所に対し、取締役不再任後もY社の従業員たる地位があるとして、地位の保全と賃金仮払いを求める仮処分申請をした。

判決のポイント

 取締役は、会社と委任契約関係にあり(商法254条3項)、取締役会を通じて会社の業務執行に関する意思決定を行う権限が認められるので、…

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平成9年5月5日第2151号10面 掲載

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